番外編
友に花道を
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『提督! ミョウコウがスナイプされて大破したわ!』
『赤城さん避けて!!』
『キャアッ?!』
『赤城さんもやられました!』
提督と朝食を食べるために食堂に言った途端大淀さんに呼び戻され、執務室に戻ってきたら……この惨状は一体何だ。無線機から聞こえてくる救援部隊のこの痛々しい悲鳴は一体何だ。
提督が瞬時に顔を切り替え、無線機のマイクを握りしめる。俺もこっちで食べようと思って持ってきた二人分の朝食をテーブルに置き、提督と救援部隊の無線のやり取りに注意した。
「落ち着け。何があった」
『提督! 私達の索敵範囲外から魚雷でスナイプされてるわ!』
「奇襲か? 異変はなかったのか? 敵は赤城の索敵網を抜けたのか?」
『分からない……だけど少し前に潜水艦隊と遭遇して、相手ができないからやり過ごしてきたの!』
提督と俺の顔から血の気が引いた。救援艦隊のいる海域では、今までカ級やヨ級といった潜水艦タイプの深海棲艦が確認されたことは一度たりともなかった。だから提督は、火力を優先して重巡洋艦4名と戦艦1名、正規空母1名の編成を組み、俺もそれを正しい判断だと肯定したのだ。
ところが、今目の前で繰り広げられているこの惨状は何だ。ありえない海域にありえない編成の敵がいて、俺たちの自慢の艦娘たちが、潜水艦ごときに次々大破させられている。
「……やむを得ん。救援艦隊は全速力で帰投しろ。これ以上の損害を出すわけにはいかない」
『でも提督! そうしたらヒエイは?!』
「比叡も大切だがお前たちも大切な仲間だ。いいから戻れ」
『Scheisse!! ……分かったわよ。救援艦隊、これより帰投するわ』
ビス子が悪態をつき、通信が乱暴に終了する。提督は無線のマイクを投げ捨て、執務室に『ガシャンッ!!』という機械の破壊音が鳴り響いた。
「……岸田、作戦は失敗だ」
「そうだな」
提督からの雪辱の報告を聞き、俺は腸が煮えくり返る思いを必死に抑え、努めて冷静に答えた。
昨晩シュウと別れた後、俺は提督、大淀さんと一緒に司令室で今後の作戦立案と救出作戦の補佐を頼まれた。つまり、大淀さんから罵倒をもらえるというのは方便だったわけだ。なんでそんな回りくどい頼み方をしたのか聞いてみたところ……
――だって、その方が『隠れた実力者』って感じがしてカッコイイだろ?
キリッとしたところはわざと人に見せないんだよ。
と確実にこちらの琴線に触れることを言ってきた。ちくしょう。さすが俺の分身なだけあって、俺が喜ぶツボを知っている。
昨日の段階で、俺はビス子たちと通信で会話をしている。
『提督の分身であるあなたもいるとは心強いわ。これからよろしくね』
ビス子にそう言われてまだ数時間しか経っていない。そ
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