08.ケッコン談義
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、こちらに猛スピードで向かってくるのが見える。姉ちゃんと一緒にレ級と戦った時に見た、あの猫ぐらいの大きさをした、ラジコン飛行機みたいなものがこっちに迫ってきているのが分かった。
「制空権取られました。こちらの艦攻は全滅です。3機の敵艦爆がこちらに向かってきています」
「了解したネー! 球磨?! 行くヨー!!」
「叩き落としてやるクマぁあ!!」
金剛さんと球磨が敵艦載機に向かって砲撃を行うが、敵はそれらを巧みにかわし、空高くに舞い上がる。
「舵を切りなさいッ!!」
「んなろぉおッ!!」
加賀さんが叫ぶのと、岸田がキーボードを叩くのがほぼ同時だった。上空から『キィィイーン』という風を切る音が聞こえ、てれたびーずが右に舵を切った。てれたびーずが大きく転舵したその瞬間、てれたびーずの船体左側ギリギリに、大きな水柱が上がった。僕は反射的にそれに乗った妖精さんを庇うように、カ号に覆いかぶさった。
「あぶねー……シュウ、大丈夫か?」
「うん大丈夫。……妖精さんは?」
カ号に乗った二人の妖精さんは、僕に元気よく敬礼を返した。
「岸田! 大丈夫だ! 妖精さんも無事だ!」
「うしっ。キソー、ゴーヤ、ロングランスはどうだ?」
『ダメ。全弾回避されたでちね』
「だな。勘のいいヤツらだぜ……」
キソーさんが前方を睨みながらそうつぶやく。サーベルを持つ手に力が入り、プルプルと震えているのが分かった。
「……接敵します」
同じく加賀さんも前を睨みながらそう呟き、少しずつ敵艦隊が見えてきた。今までの深海棲艦たちとは違うプレッシャーのようなものがここまで伝わる。あの、腰から化け物を生やした二人の少女は見覚えがある。レ級だ。頭に大きなかぶりもののようなものをかぶった3人がヲ級ってやつか。そいつらが円形に人を組んでいるのがここから確認できる。
円の中心に一人、一際禍々しいオーラを纏った女性が佇んでいる。艦娘たちのそれとは比べ物にならないほど巨大な艤装を身に纏った女性だ。その女性はこちらをまっすぐ見据え、ニヤリと笑った。その笑みは、あの日のレ級を彷彿とさせた。
そして、その禍々しい女性の前でぐったりと力尽き、海面に倒れ伏しているのは……
「……!!!」
僕はその時、生まれて初めて自分の頭の血管が切れる音を聞き、視界が真っ赤に染まるという体験をした。
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