08.ケッコン談義
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かな空気だったが、加賀さんの一言で空気が再び一変した。
「……比叡さんを見つけました」
皆の顔つきが変わった。加賀さんを見ると、警戒の表情を緩めていない。どうやら事態は芳しくないようだ。
「どんな様子だ」
『状況を詳しく話せ』
岸田と提督が加賀さんに問いただす。加賀さんは右手を自身の右耳にあて、今自分が放った偵察機からの通信を聞いているようだ。
「……無事です。轟沈はしていません。……ただし大破判定の損傷を受けています。……今倒れました。轟沈は免れてますが、その寸前のようです」
「姉ちゃん……ッ!!」
岸田が僕の肩を掴む。僕が取り乱さないよう、抑えてくれているのだが……そんな岸田も僕の肩を掴む手に力がこもっており、自身の不安や焦燥感を全力で抑えているのが分かる。
「……敵はいるか? どういう状況だ?」
「……ヲ級のフラグシップが3体。……レ級が2体。……旗艦は空母棲鬼のようです」
僕の肩を掴む岸田の手にこもる力がさらに増した。僕には知識はない。ないが、この状況がかなり危険な状況であることは分かる。ヲ級のことは分からないが、レ級ってのは、以前に姉ちゃんがギリギリのところで倒せた相手だ。空母棲鬼ってのは、姉ちゃんや金剛さんたちが大苦戦の末に撃破して、生還出来たことを抱き合って喜ぶほどに手強い相手だったはずだ。
『敵陣形は?』
「……輪形陣の変形のようですね。空母棲鬼と比叡さんを中心に、ヲ級とレ級が円形に陣を形成しています。……私達をおびき出す罠かも知れません。」
『分かった。岸田、後はお前たちに任せる。比叡を頼むぞ』
「了解だ。罠だと言うならその罠をぶち潰してやろうじゃないか。おれたちもてれたびーずを中心にした輪形陣で臨もう。先頭はゴーヤとキソーだ。ロングランスで雷撃を頼む。加賀さんは艦載機を発艦させて雷撃を行って下さい」
「了解したでち」
「任せろ」
「わかったわ」
ゴーヤが返事をし、海中に潜る。キソーさんがサーベルを抜きながらてれたびーずの前に出て魚雷を構え、球磨がバキバキと指を鳴らした。加賀さんが矢筒から矢を取り出して静かに矢をつがえ、金剛さんがまっすぐ前を見据えながら砲塔の角度調整を始める。
「比叡ッ……すぐ行くネ……!」
「仲間をいたぶってくれた礼に、確実に七回葬ってやるクマ」
「比叡さんの分の借りはきっちり返させてもらうわ」
キソーさんとゴーヤが魚雷を発射したのと、加賀さんが矢を放ったのはほぼ同時だった。加賀さんの矢がたくさんの飛行機に変身して上空を埋め尽くし、キソーさんたちの魚雷が海上をうめつくす。
「……来ます」
加賀さんが放った艦載機が上空で何者かと交戦に入ったのがわかった。しばらくしてその喧騒の中から数機の敵艦載機が抜け出し
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