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大海原でつかまえて
08.ケッコン談義
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け入れます。あなたが決めたこと。それが正解よ」

 まっすぐに話す加賀さんに続き、指輪を眺めるゴーヤも口を開いた。

「ゴーヤもそう思うよ。二人にとって、後悔のない結果であればそれでいいでち」

 そこまで言うとゴーヤはこっちに顔を向けて微笑み、同じくゴーヤの頭に乗っていた妖精さんがサムズアップをしてくれた。もう一人の妖精さんは、いつの間にか僕の肩口までよじ登ってきていて、僕の顔を見て敬礼をしている。妖精さんたちも僕のことを応援してくれているようだ。

 皆が一様に、僕と姉ちゃんのことを暖かく見守ってくれているのが分かった。僕に辛辣な言葉を向けたキソーさんも、恐らくは姉ちゃんのことを気遣ってのセリフだというのも分かった。球磨は僕に『よく考えるといい』と言ってくれた。加賀さんとゴーヤは、僕の選択が常に正解だと言ってくれたし、金剛さんは『もし渡してくれるとうれしい』と言ってくれる。皆が温かい。皆が皆なりの言葉で、僕のことを応援しようとしていることが手に取るようにわかった。

 そもそも金剛さんが言うとおり、指輪を渡すのは最後の手段だ。このままでは姉ちゃんを助けることが出来ないほどに追い詰められた時の、最後の切り札がこの指輪だ。ギリギリのギリギリまで考えて結論を出そう。

 ……でもいよいよの時は……

「みんな、そろそろ戦闘態勢に入ったほうがいいかもしれん」

 ずっとてれたびーずを操縦していた岸田がそう言った。周囲を見回すと、まだお昼すぎだというのに、周囲が若干暗くなってきている。

「これは……見覚えがあるクマ」
「以前に飛行場姫と戦った時の海域に似てマス。相手テリトリーの最深部に近い海域みたいデスネ」
「現状での比叡たんの最後の通信の発進場所がもうすぐだ」

 今の段階で、僕達がこっちの世界に来た時に辿り着いた小島よりも、さらに鎮守府から離れた場所なのは、周囲の景色を見るだけで分かる。進めば進むほど、真っ赤に染まり暗雲がたちこめた、赤黒い色に染まった悍ましい空が広がる。海の色も次第に赤暗く染まってきて、僕らが知る大海原とはまったく違った、酷く悍ましい場所に感じられた。みんなが海上に出て、陣形を組み始める。さっきまでケラケラ笑っていた金剛さんも笑顔が消え、真剣な眼差しで前を見据え始めた。

 無線機に通信が入り、ピーピーという呼び出し音が鳴った。岸田がマウスから手を離し、無線機のスイッチをひねる。相手は提督だ。鎮守府からかなり離れた場所にいるためか、それともこのおぞましい空気がそうさせているのか、鎮守府からの通信はノイズ混じりでやや聞き取り辛い。

『てれたびーず及び救援艦隊聞こえるか。こちら鎮守府だ』
「こちら救援艦隊だ。もうすぐ比叡たんの最後の通信地点に到着する」

 なんだかこうやって見てると、
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