08.ケッコン談義
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丈夫なの?」
「ちょっと重いけど大丈夫だろ。みんなの休憩もかねようぜ」
物分かりのいい旗艦・岸田の判断で、少しの間、みんなの休憩タイムとなった。あらかじめ速吸さんから預かっていたおにぎりをみんなで頬張りながら、僕が提督から渡されたケッコン指輪の話が始まる。
「なるほど。現地で比叡に指輪を渡す作戦なんデスネ」
「うん」
「しかし提督、思い切りましたね。まさか提督以外の人間に指輪を渡させるなんて」
「綺麗だクマ?……」
「ほんとでち……」
球磨とゴーヤは指輪に目が釘付けだ。妖精さんたちも、球磨とゴーヤの頭に飛び乗り、興味津々な面持ちで指輪をジッと見つめている。
「んで? 話ってなんだよ?」
鋭い眼差しでこちらを見据えたキソーさんが、僕にそう問いかける。
「だからキソーじゃなくて木曾だって言ってんだろ……」
「どっちでもいいデース。ワタシだってキソーって呼んでるんだから、ワタシたちの弟のシュウくんにもそう呼ばせるネー」
「わかったよ……姐さんにそう言われちゃ断れねーな……」
この人数の前でこの話をするのは正直恥ずかしいが、色々な人の話を聞くチャンスだと思い、勇気を振り絞って話してみることにした。
「正直、迷ってる。提督でもなく、ましてやこの世界の住人ですらない僕が渡していいものかって」
「渡すことをか?」
「うん。これは、艦娘にとっても大きな意味を持つ指輪だと聞いた。そんな大切なものを提督ではない、渡してしまえば消えてしまうかもしれない僕が、姉ちゃんに渡していいものなのか……」
「情けねぇ……そこはスパッと“渡す”って言って欲しいところだぜ。艦娘としてはな」
キソーさんが険しい顔をしてそう言うが、その直後キソーさんの頭を、球磨がゲンコツで殴った。
「痛って! なにするんだよ球磨姉ぇ!!」
「コラ! 迷ってるシュウに向かってそんな言い方はないクマッ!!」
なんというか……ものすごい光景だ。あの威圧感バリバリのキソーさんを、威圧感ゼロ
の球磨がぶん殴っている……あのキソーさんが、実に痛そうに頭を抱えながらうっすら目に涙を浮かべている……改めて言うが、ものすごい光景だ……
「だってそうだろ! 惚れた女に指輪を渡すぐらい、迷わずやって欲しいだろ!」
「シュウの気持ちになるクマ! 渡すのは簡単クマ! でも……シュウは比叡に指輪を渡したら、元の世界に戻っちゃうかもしれんクマ! 大好きな姉ちゃんをこっちに残すシュウの気持ちを考えるクマ! 大好きな弟と離れ離れになる比叡の気持ちも考えるクマッ!!」
「そうは言ってもな! 惚れた男からケッコン指輪をもらうのは艦娘の夢だろ!」
「その指輪をくれた人と離れ離れになってもキソーは平気クマか?! いつもみたいに“じゃあな”って平
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