じゃあ俺、魔導士やめるわ
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勿体ないよ!!」
シェリアには他の人よりも遥かに才能がある。そんな彼女がギルドに所属しないなど、宝の持ち腐れだ。フリーの魔導士でも何とかなるかも知れないけど、それ以上にギルドにいることは大切なことだ。さらには蛇姫の鱗はフィオーレで2番目に強いギルドだ。しかもジュラさんとリオンくんの二強を使わずにその地位に位置している。そんなギルドから声がかかっているのだから普通は大喜びで入るはずなんだ。
「レオンは慌てん坊だなぁ。あたしはまだ入らないって言ったんだよ」
「?」
シェリアの言葉の意味がわからず俺は首をかしげる。すると彼女は俺の片手を取ってこう言った。
「レオンが卒業したら、一緒に入ろう!!ね?」
「!!」
シェリアは俺のことを待っていてくれると言ったのだ。本当はリオンくんと一刻も早く仕事をしたいに決まってるのに、彼女は口癖の“愛”よりも俺との“友情”を取ってくれたのだった。
「俺が卒業するまで5年もあるよ?」
「全然大丈夫!!それまであたしはこの魔法の訓練するから!!」
シェリアはもらったばかりの本を俺に見せながらそう言う。その魔法を修得するのならよりギルドに入っていた方がいい気がするが、シェリアが待っていてくれるというのなら、俺は一刻も早く卒業しようと思った。
卒業式が終わると夏休みに入る。その間は宿題をしたりシェリアに魔法を見てもらったりとして過ごし、ついに俺は5年生となった。
シェリアが魔法を教えてくれるおかげで成績優秀・・・とまではいかないが、確実に学年での順位は上げていた。
そして5年生で勉強していたある日、実技から教室に戻る際に忘れ物に気づき、校庭に取りに戻ってから教室に再度向かっている最中、どこからか何か話し声が聞こえてきた。
「なんだ?」
疑問に思った俺はそちらを覗き込む。そこには学校長と評議院の議長、グラン・ドマがいた。
2人は何かを話しているようだった。
「それにしてもシェリアは素晴らしい生徒でしたね」
「彼女ならきっといい魔導士になってくれますよ」
どうやら2人の話題は学校始まって以来の優等生、シェリアについての話だった。
俺は教室に戻らなければならないことなど忘れてその話を盗み聞きしていた。
シェリアが誉められているのは純粋に嬉しかったから、彼女にこのことを教えてあげようと思い授業が始まる時間になったのも忘れて耳を傾けていた。
すると突然、話題がシェリアから違う者へと移り変わる。
「そういえばリオンのいとこ・・・レオンくんだったか?」
シェリアがシェリーさんのいとこということで似た境遇の俺の話題になったようだった。俺は一体どんな評価なのかドキドキしながら聞いてみる。
「彼にはガッカリしたな」
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