一章
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ゼロが天へと舞い上がり、軍の飛空挺はすぐにそのあとを追った。飛空挺は素早く機動力に優れている。その代わり、船ほど高火力の武器を積むことはできない。大きな空母となると話は別だが、それではゼロのスピードに追い付くどころか、あっという間に背後をとられてやられてしまう。小型の飛空挺で、ちいさく小回りをし、翼を持つ悪魔に並んで飛ばなければならないのだ。スピードも機動力も叶わない悪魔を相手に
しかし、軍の技術も進む。最新型の飛空挺は、スピードも申し分なく、船内に人数をおくことによって、機動力も射撃の命中力も上がった。ゼロを仕留めるために日々磨かれている技術だが、それを嘲笑うかのように、ゼロは高い所から悠々と見下ろし、身の丈を越すくらいの黒く大きな翼が、空は俺のものだと言うように堂々と空に広がる
深紅の眼は獲物をとらえた
「撃てー!!」
全方位、あらゆる所から弾を放つ飛空挺は、真上にいるゼロにも発砲できた。ゼロを囲むのは5機の飛空挺。それらが一斉に射撃をおこなったのだ
逃げ場なし
まさにそう思える状況。しかしゼロは舞うように弾を避けていく。避けながら加速し、鋼鉄化した爪を一気にふりおろす。狙うは飛空挺の翼。一機の飛空挺がいきおいでくるくると回転し、煙を吹きながらゆっくりとだが確実に落ちていく。ゼロの動きは止まらない。乱射される銃弾に見向きもせずに次のターゲットに向かう。乗った飛空挺に足をかけ、少し動かす。それだけの行為だ。しかし、その飛空挺から発射される弾は正確に他の飛空挺を貫いていく。
戦場は言うまでもなく、悪魔一人に支配されていた
「だからダメだっていったのに」
「まぁそういってやんな。あいつらにもメンツってもんがあるのさ」
「メンツって……死ぬほど大切なのものじゃないと思うけどなぁ」
少し離れた所の飛空挺。小さな一機だ。その一席に座る白い髪の青年はゼロが戦う様子をじっと見ていた。
「ゼロはあれじゃ倒せない。体力は削れても捕まえることなんて到底不可能」
「だからおまえがいるんだろうが。ほら、もう扉は開けてあるから行ってこい。オレははやくあいつから離れたい」
「うん、わかった」
おもむろに立ち上がった彼は扉のもとへ歩き、そのまま身を投げ出した。
「!」
ゼロの厳しい目線が光る。夜の闇に紛れた白いなにか。夜にいきる彼の赤い目は確かにそれを捕らえた
「ちっ、もう来やがったか」
ゼロは即座に翼をうちならし、軽々と飛空挺の間を通って、そこを突破した。
「んー、スピードじゃ敵わない」
不思議なことに青年の白髪は強風にあおられはしない。ふわりふわりと揺れるだけ
青年はゼロの方へ手をかざした。おもむろにゆっくり
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