一章
5
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と。
なんでもないその行為は、ゼロの翼をメキメキと音をたてて潰したのだった。
「っつ!!」
「ゼロが早いせいだ」
今度は手を下へふりおろす。すると、あり得ない速度で、ゼロは急降下し、海へと落ちた。あまりにもあっけない。一瞬の出来事だった
「おわったかー?」
飛空挺からめんどくさそうな声が響く。
「あれ、帰ったかと思ったよ。ヴァン」
「帰りてぇけどお前を連れて帰らねぇといけねぇんだよ、オレは。ほっといたら何処までいくかわからねぇ」
「方向音痴なんだ、おれ」
「ルーク、おまえのは度をこえてる。そろそろ理解しろよ」
青年の名はルーク。飛空挺を操縦するのはヴァンという。軍のなかでも最強の刺客と、最速の飛空挺乗りだった。
「むかえにきてくれたのは嬉しいけど、まだだよ」
「は?ここどんだけ深いと思ってんだよ。深海魚でもなけりゃ生き残れねぇって」
「うーん、でも相手はゼロだからなー」
そのときだった
海から激しく波しぶきがたち、低い音が轟いた
ヴァンは顔を青ざめてすぐさまその場から去り、ルークはぼんやりとしていた目を少しだけ輝かせた
そこにいるのは悪魔
禍々しい闇をまとったゼロだった
「……わーお。海水ぜんぶ破壊しちゃったの?」
「全部じゃねぇよ。多少濡れた」
「ほんと、おれがいうのも何だけど……反則くさい。そんなに濡れたくなかった?」
「あ?なにが反則だよ。お前には言われたくねぇな。重力野郎」
傷ついた翼はバキバキと音をたて、それでも空を飛ぶ。海を破壊した闇は消え去っていた
「もーすぐ、夜が明けるよ?ゼロ。今日はおれが勝つんじゃない?」
「ありえねぇな」
「ふーん。なんで?」
「勝負なんざする気がねぇから」
ゼロの闇が集まる。深紅の眼で笑う姿は人に恐怖を与えた。
しかし、ルークは無表情のまま、こくんと頷いた
「わかった。じゃ、おれはゼロを逃がさないようにがんばるよ」
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