第四章
[8]前話
彼女達はだ、膝までの古風な服を着ていた。
十八世紀の農家の娘が着る様な服だ、袖は長く青や白、黒の服でワンピースもあればブラウスもある。金や白、赤の糸で刺繍がところどころに入り。
花柄の模様はエプロンで飾られてもいる、靴は黒や白で可憐な少女達を飾っている。そして少女達の頭には。
白い花模様を王冠の様にデザインしたものや四十センチはある白い高い塔の様なものもある。色は全て白だ。
その服やヘッドドレスの少女達を見てだ、ガウェインは言った。
「若しかしてあのヘッドドレスが」
「コアフだよ」
「やっぱりそうだね」
「どうだい?あの服にコアフは」
「女の子達もいいけれど」
まずは彼女達のことから話すのだった。
「けれどね」
「服にコアフもだね」
「いいね」
素直に言ったガウェインだった。
「これ以上はないまでに」
「最高だね」
「このことは僕もね」
彼にしてもというのだ。
「こう言うよ」
「最高とだね」
「他にないまでにね」
「服にコアフ」
その両方がというのだ。
「靴もだけれどね」
「これもまただよ」
「パリだね」
「もっとも前にも言ったけれど」
この前置きからだ、ジョアンは言った。
「コアフは本来はパリのものじゃないよ」
「ブルターニュやプロヴァンスだね」
「そちらだからね」
それでというのだ。
「パリかっていうとそうじゃないなよ」
「フランスだね」
「そうなるよ」
「君も素直に言うね」
「だから言ったね、僕は事実を言っているからね」
それでというのだ。
「自信があるんだよ」
「そういうことだね」
「そうだよ、さてあの娘達の中で彼氏がいない娘がいたら」
ジョアンの笑顔が楽しげなものになっていた。
「声をかけようかな」
「君は今交際相手がいないんだね」
「残念ながらね、だからね」
「皆可愛いからもういるかも知れないよ」
「それでも声をかけてみるよ、まずはいるかどうかから聞くよ」
「じゃあ僕もそうしようかな」
実はガウェインも今は交際相手がいない、それでこう言うのだった。
「あの娘達にね」
「ではそれぞれ見付けようか」
「交際相手もね」
こう言ってだ、二人は実際に少女達に声をかけたがだ。これだと思った娘は本当に誰もが相手がいてだった。
二人は帰る時に肩をすくめさせてだ、こう言ったのだった。
「やっぱり可愛い娘は真っ先に相手が出来る」
「このことは何処でも一緒だね」
パリでもバーミンガムでもとだ、このことは何処でも変わらないことを知ってだ。コアフを見た後二人はおとなしくそれぞれの家に帰ったのだった。
コアフ 完
2015・12・28
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