結
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テオの背中を刺した農耕具は使い古されていて、とても鋭いとは言えない状態だった。
それに加え、爪ではなく一枚板で食い込み難い形状だった事、飛び込んだテオに驚いたおじさんの力が多少なり抜けていた事も幸いしたらしい。
即死は避けられたものの重傷には変わりなく、年単位で生死の境をさ迷った末になんとか回復を遂げた……その治療にアリア信仰が関わっていたと言うから衝撃だ。
「うん。アリア信仰は君達母子をバーデル国内で手広く捜索してたみたいなんだ。それらしい容姿の子供……つまり、君の目撃情報を辿った結果、一足遅く村を訪れたアリア信徒が治療してくれる運びになったんだよ」
祭壇を見上げる右側最前列・階段寄りの椅子に並んで座り、私も知らなかった事実が明かされていく。
確かに、大司教が後見人を務める相手なら捜索はするとしても、当時のバーデルはまだアリア信仰の排斥を解除したばかり。信徒が入国するのも容易ではなかったろうに、力の入れ方が不自然だ。
何故そうまでして自分達を捜していたのかと問えば、返って来た答えは「君がハーネス大司教の実孫だから」。
ハーネス大司教がレティシア教皇の遠縁に当たる血筋だとは聞いていた。
なるほど、有力者の親戚捜しなら納得だ。
が……まさかの父方血縁者発覚に、呼吸も思考も停止しかけた。
ハーネス大司教はそんな事、最後まで一言も。気配すら感じさせなかったのに。
「君のお父さんは、ハーネス大司教が司教になる以前に母親とバーデルへ移住して、後々君のお母さんと結婚したんだけど……戦死する前にハーネス大司教と連絡を取り合い、君とお母さんを逃がそうとしてたんだって。これは言っても仕方ないかな。君のお母さんを殺した役所の人間も見付かっててね。立場を利用した悪質さと残忍な手口を追及され、国際法違反で重罰を受けた後、全員死亡が確認されたそうだよ。さすがに詳しい処罰内容は聞いてないけど、彼らに対して関係各国の非難が集中したのは間違いない。本音はどうあれ、非人道的と称する行為への批判は当時の政権支持層獲得に有効な手段だったからね」
「そうですか……」
お母さんを襲った男達か。もう、顔も思い出せないな。確かに聞こえていた筈の下品な笑い声も、最初から自分の物だった気がして……要するにまるっきり覚えてないも同然だ。死んでいたと聞かされても、何の感情も湧いてこない。
それより
「テオは私を責めないのですか？」
「何故？」
「私の所為で酷い怪我……いえ、死の寸前に至るまで苦しんでいたと」
テオは大きな目を瞬かせて、にこっと笑った。
「君の所為じゃないよ。そうだなぁ……置き換えてみようか」
うーん……と唸りながら腕を組みつつ、指先で軽くトントンと二の腕を叩く。
「あの場面に於いて、君は畑を荒らした加害者。私は
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