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逆さの砂時計

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ですよ、ロザリア。
 「行きましょうか。アルスエルナまでは秘密の二人旅行ですね」
 「妙な言い回しすんな!」
 少しも痛くない手刀を私の肩に残し、すたたーっと前を走って行く。
 あっさり開いた数歩分の距離。
 教会に居た頃よりずっと穏やかな気持ちで、小さな背中を歩いて追う。
 が
 「……ロザリア?」
 いきなりピタッと止まったかと思えば、シュバッと効果音が聴こえそうな勢いで私の目の前に立った。
 そして
 「!」
 彼女の右手が私の左手を掴み、そのまま左隣に移動する。
 「……実は女神じゃなくて、小悪魔だったりしません?」
 「う……うるさいっ」
 多分、帽子に隠れた頬は林檎色に染まってる。
 繋いだ手がぴるぴる震えて、心臓の動きまで伝わって来そうだ。
 汗ばんだ手のひらがもう、可愛くて愛しくて堪らない。
 「ありがとうございます、ロザリア」
 「別にっ」

 私が敷いていた境界線。
 ベゼドラが壊した距離。
 ロザリアが伸ばした腕。

 ええ、一緒に歩きましょう。
 貴女と私、互いに隣同士で。
 この道を、行ける所まで……




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