結
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る。
でも
「変化を愛した「彼女」に敬意を。私は人間として生き、死にましょう」
見上げた空は漆黒。嫌いだった国の色。
……ほんの少し好きになってしまったのは……人間故の流されやすさと受け止めよう。
「なんだそれ?」
「新しい服です。靴と帽子も揃えたので、良かったら着替えてください」
足元にずらっと並べた計八つの紙袋をしげしげと眺めるロザリアに、その内の一つを開けて見せる。
「これって」
布地の色や手触り、首回りの造りが何処となく教会で追加購入した純白のワンピースを思わせる服。
違いは長袖である事と、膝下までを隠すスカートの裾に金糸で細やかな花柄の刺繍が施されている事かな。
「また破くつもりじゃないだろうな」
「あれはベゼドラの犯行です」
「そうだけど、なんか疑ったほうが良さげだし」
とは言いつつ、服や靴を両手で掲げ見る姿は楽しそうだ。一応は気に入ってくれたらしい。
彼女は飾り気よりも機能性を重視する合理主義。軽めの物を選んで正解だった。
袋ごと別の空間へ跳び、暫くして戻って来たロザリアは……おや? 不思議そうな表情で頬を掻いている。その右手には透明な球体。水?
「なんだろうな、これ。袖に入ってたんだけど」
興味で受け取って、じっと観察してみる。
「……水入りの球体にしか見えませんね。覚えは無いのですか?」
「全ッ然知らん。少なくとも自分の意思では……ちょい待ち。それ、もっかい貸して」
「? はい」
差し出された左手のひらに ぽん と球体を返すと、何故かジリジリと後退されてしまった。
「……判った。これ、泉の水だ。持ち主の気配を消してる」
「泉の?」
リースもあの場所に居たし、ならば彼女が入れたのだろうか?
「ふ……ふふ。なんか知らんが良い物拾った! これを持って移動しまくれば、ベゼドラは絶対私を見付けられないぞ! ざまぁみろ!」
やーいやーいと、本当に嬉しそうにはしゃいでる。
ベゼドラ……実は相当嫌われていたのだろうか?
確かに、好かれる要因が何処にあったのかと尋かれても困る横暴ぶりだったが。
「気の毒に……」
同性としては禁じ得ないものを感じつつこっそり溢した呟きも、浮かれたロザリアの耳には届かなかったようだ。
「良し! そうと判ればちゃきちゃき行動するぞ、クロスツェル! 行きたい所があるなら先に言っとけよ。残りは私に付き合ってもらうからな!」
つばが広い真っ白な帽子を被り、底がしっかりした薄茶色のショートブーツを履いてワンピースの裾を翻した少女は、そう言いながらも足先をアルスエルナの方角へ向けている。
「貴女って人は……」
「んだよ?」
「いいえ」
貴女にも敵わないなぁと嬉しくなっただけ
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