07.妖精さんは頭の上が好きらしい
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、球磨に行かせて欲しいクマ」
「……わかった。でも一人じゃダメだ。シュウ」
岸田に名指しされたことで、僕は岸田が言わんとしていることが理解出来た。僕の隣でホバリングしているカ号観測機……カ号でいいや……の妖精さんにお願いした。
「妖精さん、球磨さんと一緒に潜水艦を倒してきて欲しい」
一人は敬礼、一人はサムズアップで答えてくれ、カ号が再び空高く舞い上がる。
「助かるクマ! じゃあみんな、先に行ってるクマ!!」
球磨さんは笑顔でそう言い、アホ毛をぴょこぴょこさせながら勢い良く走っていった。僕らは僕らで、そのまま全速力で海域を離脱した。
数十分後、球磨さんとの距離があまりに離れすぎることを危惧した岸田の提案で、先ほどの海域から離れた場所にある小島で、僕達は球磨さんとカ号の帰還を待つことにした。
僕は、待ってる間気が気ではなくずっとそわそわしていたのだが、僕以外の全員が落ち着き払っている。加賀さんはまだ周囲を警戒しているかのように見回しているが、球磨さんの妹のキソーさんと水面から頭だけ出しているゴーヤは、ヒマそうにあくびをしたり、伸びをしたりしている。金剛さんにいたっては『紅茶が飲みたいネー』と口走る始末。なんだこの緊張感のかけらもない空気は……みんな球磨さんのことが心配にならないのかッ?!
「ぁあ、シュウは知らないのか」
「へ? 何が?」
「うちの鎮守府でも、球磨はトップクラスに強いぞ」
なんだとっ?! あの、語尾に『クマ?』とかつけてのほほんとしててこの面子の中でも一番戦いに縁がなさそうな、あの球磨さんが?! 僕が驚いて金魚のように口をパクパクさせていると、岸田の代わりにキソーさんたちが口を開く。
「ああ見えて、うちの球磨姉は俺の姉妹の中でも最強だし、鎮守府内でも球磨姉に勝てるヤツはそうそういない。心配はするだけ無駄だぜシュウ」
「ワタシや比叡でどっこいどっこいデース。球磨相手の演習だと安定して勝てないネー」
「私はこの前演習を挑んだら、艦攻を発進させる前に張り倒されて終わりました……」
「ゴーヤも勝った試しがないでち……爆雷がなくても海から引っ張りだされて張り倒されるし……この前潜水艦勢6人で立ち向かったら全員張り倒されて終わったでち……」
なんだこの恐るべき事実の数々……ここにいるみんなは鎮守府の中でもよりぬきのはずなのに、皆口々に『勝てない』だの『張り倒される』だの『どっこいどっこい』だの……
そうして僕が驚き、恐れおののいていると……
「今戻ったクマ〜」
という声が背後から聞こえ、振り向くと顔が少々汚れ、服がちょっとだけ焦げた100万ドルの笑顔の球磨さんが立っていた。
「シュウ、カ号がいて助かったクマ。クマクマっ」
少し遅れて、カ
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