07.妖精さんは頭の上が好きらしい
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配置した。やがて魚影が分かるほどの距離まで近づき、僕達の間を何本もの魚雷が走っていくのが分かった。あれだけけたたましくなっていた警戒音が次第に小さくなり、それを受けてキソーさんがニヤリと笑った。
「よーし……今の分、熨斗をつけて返してやるぜ!!」
「爆雷投下クマぁぁああああ!!!」
球磨さんとキソーさんの艤装から、たくさんの小さなドラム缶のようなものがばらまかれた。僕のカ号観測機も上空からたくさんのドラム缶をばらまいている。あの小さなカ号観測機のいったいどこに、あれだけたくさんの爆雷が格納されていたのかと不思議に思うほどだ。
見た感じ数百個ほどに見える爆雷が投下されてしばらく経った頃、轟音と共に投下地点にたくさんの水柱が立ち、しばらくしてその爆発で打ち上げられた海水が、ここまで降ってきた。カ号観測機が僕のそばまで戻ってきて、僕の隣でホバリングしはじめる。妖精さんたちは爆雷投下地点をジッと睨み続けていた。
「そのまま最大船速で海域をつっきる! 残りに構うなッ!!」
岸田が周囲にツバをまき散らしながら皆に指示を出し、てれたびーずが海域をまっすぐ突き進む。他のみんなもてれたびーずの後についてきた。爆雷の投下地点を過ぎ、かなり距離が離れたところで、球磨さんが背後を振り返った。
「……なんかクサいクマ」
アホ毛をピクピクさせながら、球磨さんが鼻をすんすん鳴らしてそう言い、一人転舵して引き返す。
「あれ?! 球磨さん?!」
「ちょっと見てくるだけクマ! みんなは先に行って……」
突如、球磨さんの足元で爆発が起こった。爆発を受けた球磨さんの身体は中空に持ち上がり、僕達の元まで吹き飛ばされて戻ってきた。僕はこの爆発の仕方は見覚えがあった。レ級との戦いの時、姉ちゃんの足を止め、僕を垂直に吹き飛ばした爆発と同じあの爆発は、魚雷だ。
「うぉおおおー?!」
「球磨さん?!」
球磨さんのダメージは幸いにも少なく、艤装から少々煙が上がっているだけのようだ。倒れた球磨さんはぴょんと元気よく立ち上がり、後方を見据えて睨んだ。戦闘態勢に入っているためか、心持ちアホ毛も硬そうだ。
「大丈夫クマ。無傷のヤツがまだ残ってたみたいだクマ」
「このまま振り切るデス! ワタシたちなら振り切ることも出来るネ!」
「いーや、こっちの索敵範囲外から今みたいにピンポイントで魚雷を撃たれ続けて面倒なことになるクマ」
「なるほど……これで妙高たちはやられたのか……」
岸田曰く、妙高さんたちは単横陣で突っ切るとこまでは問題なく出来たが、その後索敵範囲外からのスナイプでやられたという報告を受けていたらしい。相手はロングレンジからピンポイントで魚雷を撃つ名手。ならば後攻の憂いは断っておかなければならない。
「岸田
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