一先ず日常
[8/8]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ぐ。
「ごめん、ホントにごめんな慧理那…………あー、えっと愛香が居る理由だっけ? 家が隣でさ、幼馴染出し部屋によく来るんだよ」
実の所訪問方法は玄関から、というより……距離自体其処まで無いとはいえ、幼い頃からベランダ越しに飛び越えてくると言う、驚異的なお邪魔の仕方がしょっちゅうなのだが、総二は話すまでもないと伏せておいた。
[幼馴染、家が隣……ブツブツ…………]
まだ部屋に出したばかりの氷の様な冷たさだった声音が、一気に氷点下クラスまで下がっていくのを、総二は肌で感じながらも疑問に思った。
「あ、そう言えば相談って何が―――」
[失礼いたします、朝から済みませんでしたわね……では学校で、“観束” 君]
其処で電話は切れた。
「やっぱり放置して置きすぎたよな……後で謝らないとなぁ……」
「……それだけじゃないと思う」
『さっき呟いていた単語からするにナァ?』
「……ん」
トゥアルフォンをベッドの上へと置く総二に、何時の間にかグラトニーが視線を向けて居た。
何やら意味深長な会話をラースと交わしていたが、彼には見当が付かない。
と……其処で違和感に気が付く。
「そういえば静かだな。喧嘩はどうなったんだ?」
『ハ、それはお前さんの目で見てみナヨ』
言われるがままに視線を移動させて見れば―――――本当に何があったのか、お互いに背を向けて赤面し、モジモジし合っている愛香とトゥアールが居り、総二の思考はフリーズした。
鈍な起承転結があって、血を血で洗う諍いからこんな場面まで移り変わるのか、皆目見当が付かない為である。
「……世にも最悪なツンデレ劇場」
グラトニーが意味不明な呟きを残して部屋を出ていき、良い匂いが漂うと共に階下から未春に呼ばれるまで、総二達は暫しの間動く事すらできないのであった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ