一先ず日常
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ノ、こんな目茶目茶を朝からやってリャ』
其処らの暴漢ならいざ知らず、愛香にはこれ位訳無いのかスプレー缶からの噴射攻撃を、両手を交差させる事で見事に防ぐ。
熾烈な争いが行われる横で、繰り広げられるのんきな会話……何ともシュールな光景だ。
「引っかかりましたね?」
「え!? 何これ!?」
防がれピンチかと思われたが、何時もは圧倒されるばかりなトゥアールも、今回ばかりは一枚上手だった。
何故なら防いだ筈のスプレーの中身は粘性の液体であり、オマケに空気に触れると体積を増すのか爆発的に大きくなって、愛香の両手を丸く覆ってしまう。
驚いている間に両足にも吹きかけられて、マスコットキャラクターの余りに簡略化した手足みたく、バレーボール代の球体状になってしまったのだ。
球体である上に、スポンジのように柔らかい物質でできているか、思うようにバランスがとれず愛香はすっ転んだ。
「はっはっはぁ! これぞアンチアイカシステム第三号『アイカカタメール』です!」
「『ダサい、っていうかダサい』」
包み隠さない正直な感想が、二つの口から見事なハーモニーを奏でつつ発言された。
「ハモった!? グラトニーちゃんとラースさんがハモる程にダサかった!? ……あ……と、兎に角両手足を封じた以上、愛香さんに勝ち目など皆無です!」
「まだまだ!」
勝ち誇るトゥアールを睨みつけた愛香は、言うが早いか弾力を逆に利用して飛びあがり、両の手足でしっかり抱きつく。
一般の人間ならその体勢でもそこそこしか力が入らないが、愛香ならは話は別。
強烈なベアハッグがお見舞いされた。
……もう人間ではない、樹上生物のソレである。
「肋が腰が頸椎があああぁぁぁアアアアァァァーーーーーーーーーー!?」
お天道様が爽やかに朝の挨拶を告げる中、総二にまず突き付けられるのは……少女の悲鳴と骨の悲鳴。
何が悲しくて凄惨なる光景を目の当たりにしなければならないのか、総二は今ままでの自分に地獄を呼び込むまでの非があったのかを、愚直なまで真剣に悩んだ。
「……はっ! え、慧理那? なんかその、騒がしくてごめんな?」
其処で総二は漸く、自分が電話越しに会話中だったのを思い出し、慌てて引け腰気味に謝った。
[トゥアールさんが地下に居るのも、グラトニーちゃんが住むのも知っては居ますが……何故津辺さんの声までするんですの?]
長い間放置されていたせいなのか、どうも慧理那の声音は冷たい。氷の如くと言い表しても、何ら過剰表現ではないと言えるぐらいに。
切らずに待ってくれていただけ、いいというものだろう。
それを総二も察して、平謝りしながら言葉を紡
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