一先ず日常
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よ!!』
『その件に関しては同意できますけど、同時にまたも私を武器にした人が言って良い台詞でも有りませんよ!!』
『……扉、壊すな』
『一分一秒が惜しいって言ったでしょ! 手段なんて選んでいる暇は無いわ!』
『だからって人をダシに使うのは正直どうかと思いますが!?』
この状況と常識的に言って、グラトニーの判断が“非常に”正しいと思うのだが、愛香とトゥアールはどうも納得いかないか捲し立て続ける。
それは正しく、負けず嫌いが度を越し過ぎて、レフェリーの正常な判断に子供の如く詰め寄っていく、器量の狭すぎるスポース選手にも似たり。
尤も一番に喰ってかかっているのは愛香だけで、トゥアールのセリフは主に彼女への批判である。
……というか鍵など掛っていないのだから、この場合ごく普通にドアを開けて入ればいいだけ。
なのに人間を無理矢理抱えて破城鎚にし、思い切りが良すぎるぐらい勢いよく扉を破壊してまで、乱暴に突入する意味が一体全体どこにあるのだろうか。
そんな世の中の不合理さに、総二の頭がいい加減痛くなってきたとき―――ガチャリ、と静かに扉が開く。
総二の顔が再び老ける。
「「今度こそ―――ずおりゃあああぁぁーーーっ!! ……!? って、真似するなーーーっ!!」」
「……再びお邪魔……」
そして正反対の挨拶と正反対の気概を持って、三人が元気良く飛び込んできた。
愛香とトゥアールがまず先に、そしてその後にドアが備え付けられた壁とは逆の方からグラトニーが、それぞれ入って来た事から戸っ手を握ったのがグラトニーでない事が分かった。
まあ、放っておいても埒が明かないからと手を付けたかもしれず、そもそも争いの熱が冷めてはいないので、誰であろうと結果は同じになっただろう。
所謂、要因の問題であるだけなのだから。
「ふっふっふ……部屋に入ってしまえばこっちのモノ! このまま暴れれば下着が脱ぎ棄てられ、あらぬ姿を総二様の前に晒させる事となりますよ!」
「なら答えは単純、シンプルね! そうなる前に一撃で決着を付けてやるだけだわ!」
「……ここを固定、ここも固定……あっちも固定……」
(今は朝五時なのに……まどろみの中でホンワカする時間なのに……)
一撃必倒覚悟とばかりに愛香は一足蹴ると飛び退って、悪の幹部よろしく不敵に笑むトゥアールへ狙いを定める。
何とも間の抜けた声で、グラトニーが保険の為か部屋中に力を掛けていく。
……総二は、目の前の現実を受け入れられないでいた。
「やはり距離を取りましたね……此処だぁ!」
「催涙スプレーかしら? なら甘すぎるわよ!」
『うるせぇナァ……全くヨゥ……』
「……あ、ラース起きた」
『起きるっテー
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