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寄生捕喰者とツインテール
一先ず日常
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るかぎり!』
『……やり過ぎな時点で信憑性は無い……』


 “ドゴゴゴゴガガガガガ!!” とマシンガンにも勝る狭い間隔での打撃音と、またも聞こえる強烈な轟音、偶に聞こえる大人しい少女の声が、壁越しにでも総二の部屋内部まで達してきた。


 壁反対側の位置する部屋からの音が、遠ざかったり近寄ったりしている事で、二人が縦横無尽に動き回りながら喧嘩している事が分かる……が、分かった所で何の癒しも齎さない。

 寧ろ、湯を張り始めたお風呂の如く、心労の水嵩が留まる事無く増えていく。

 破壊された音などは聞こえないので、恐らくグラトニーが逐一インテリアを強化固定しているのだと推測でき、それだけが総二にとって唯一たる心の清涼剤となっていた。


『―――ってだからこんな事している場合じゃないんですって!! 総二様の部屋行かないと!!』
『それについては私も、超! 不本意だけど同じ“気配”を感じたから同意するわ。……だからさっさと固定を解きなさいよグラトニー!』


 もう何が何でも壁をぶち破って、総二の部屋まで突入したいらしい。

 そんな愛香の憤激籠った叫びを聞いて、理不尽が積み重なり顔が極限までしかめられ、総二の外見がこれでもかと老けた。
 心労溜まりの影響、ここに極まれりだ。


『……壁破らない、ドアから行けばいい』
『一分一秒が惜しいのよ!!』
『……この言い争いこそ無駄』
『う……!?』
『言い返せない程に真っ当な論理!?』


 第三者位置から聞いていても震えが来る程の迫力をもって、上から上から言葉を畳み掛けていると言うのに、抑揚も声質すらもまったく変わり映えしない様子で淡々とグラトニーは返していく。

 遂に折れたか隣部屋のドアが乱暴に開く音がし、喧嘩しながらの移動なのかドタバタ煩く暴れながら、総二の部屋の前まで足音らしき喧騒が徐々に近付いてくる。


 かと思うと、不意にピタッと止んだ。


『ちょ、愛香さ、止め―――』
『ずおぉりゃああぁ―――』

“ゴヂィィンン!!”

『『ウ゛ギャアアアアァァァァァッ!?』』
『……破壊、ダメ』


 再び響き渡る痛烈なる衝撃、空気をも劈く悲鳴の二重奏。
 そしてその後に聞こえる、余りに冷静な声音。


『何でなのよ!? グラトニー、アンタ扉を触って無かったじゃない!!』
『……ちょっと前、扉触った』


 壁ではなく扉が吹き飛ばされる異常事態を招くかと思いきや、コレもまたグラトニーが対処してくれていた様子だ。
 恐らくは総二にトゥアルフォンを渡して慧理那と軽く会話を交わして部屋を出た……その時既に力を行使して、蛮行への先手を打っていたのだと分かる。


『先手を打っておくなんて卑怯よ、卑劣
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