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何が流行するか
3部分:第三章
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第三章

「他にも赤とか青とかも」
「カラフルだな」
「まあそういう人もいたということで」
「白か。汚れが目立ちそうだな」
「実際に汚れがすぐについて大変でしたよ」
 完全に知っている口調だった。
「けれどそれでもこの頃はこれが格好よかったんですよ」
「確かにな。これな」
「いいと思われますか?」
「格好いいな」
 実際にそうだと言う大輔だった。
「この格好いけるぜ」
「御気に召されたんですね」
「短いのは今もあるけれどな」
「それでもですね」
「長いの。これなんか凄いよな」
 とりわけ長い学生服を指差して店員に話す大輔だった。
「何ていうんだろうな、この学ランは」
「それは超長ランですね」
「超長ラン?」
「昔の応援団の団長とかが着てた服で」
「応援団な」
「今は殆どの学校でなくなりましたね」
「あるのはチアリーダーだな」
 大輔の通っている高校でもだ。あるのはそれだった。最早バンカラの時ではないのだ。
「こういうのはな」
「ないですよね」
「ああ。けれど超長ランか」
「ヨーランともいいます」
 店員はこの呼び名も言ってきた。
「この頃はこうした格好が人気があったんですよ」
「凄いな、そりゃまた」
「ナメ猫とかいまして」
「ナメ猫?」
「猫がこうした学生服着て写真になっていて」
 その頃に流行ったものをだ。大輔に話すのであった。
「それでなめんなよ、って言ってたんですよ」
「猫がこのヨーラン着てか」
「雌猫も雌猫で」
「ああ、これか」
 大輔はまだカタログを見ていた。そこには女用のものもあった。
 セーラー服だ。この頃はこればかりだったのだ。その上は丈が短く下のスカートがやけに短い。大輔から見れば居様に見える。しかしそれもだったのだ。
「それを猫も着てたんですよ」
「これが主流だったのかよ」
「っていうか女の子の不良は全部その服だったんですよ」
「動きにくくないか?こんな長いスカート」
「まあそうだったみたいですけれど」
「凄い制服だよな、本当に」
「この頃はスケバンといいました」
 店員はまたしても懐かしい、大輔の知らない言葉を出してきた。
「番長とかそういう時代だったんですよ」
「番長って何だよ」
「昔はその学校の不良を仕切っている人間をそう呼んだんですよ」
「それが番長だったのかよ」
「それで他には外番とか若番とかいまして」
 大輔にとってはさらにちんぷんかんぷんなことだった。実際にそう聞いてもだ。
 彼はいぶかしむ顔になっていた。その彼にだ。店員は笑って言ってきた。
「おわかりになられないですか」
「っていうか八十年代って何なんだよ」
「ですから。こうした長い学生服で」
「それで番長とかいたのかよ」
「それで、なんですよ」
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