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フリージング 新訳
第35話 Goodspeed of the East 4
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カズトがイーストを出た日の翌日。キャシーはいつも通りに自分のパートナーと訓練をしていた。
いつもと変わらない日常。変わったものと言えば、時々あの青年を思い出すことくらいだろうか。
彼は今どうしているのだろう。借した本は読んでくれているだろうか。ちゃんとご飯は食べているのだろうか。
それだけで頭がいっぱいになる。

「不思議な感覚だなぁ……」

昼食のシチューを頬張りながら、ひとり言をつぶやく。こんな感情は初めてだ。
毎日訓練をし、授業を受け、そして好きな本を読む。そんな繰り返しの毎日が、昨日から変わっていっている。
次に会えるのが楽しみだ。そう思っている自分がしっかりといる。本当に初めての感覚だ。そう思っていた時、学園中に警報が鳴り響いた。

「これは……??」

今までにないこと。出撃要請なら何度か経験したことはあるが、これはまるで襲撃されたのを警戒しろと言っているようなものだ。この要塞とまで呼べるようなゼネティックスに誰が………………

そう思考を加速させた時。食堂の壁が爆裂し、瓦礫が吹き飛んでいく。

「おーおー、いい女が揃ってんじゃねえの。選び放題のより取り見取りってやつだなぁ」

そこから現れたのは、短い髪を下品な金髪に染めたチャラチャラとした青年。その手にはズタズタに傷つけられた生徒がいる。
まるで殺すことが目的ではなく、痛みつけ、肌を晒させることが目的かのような傷が男の卑劣さを物語っていた。

「貴方は……何者……?」

怯えて動けなくなった生徒たちの中で、キャシーだけが怒りを込めた目で男を睨みつけた。その手には既に展開したボルトウェポンが握られている。

「ん?おお、いい女じゃねえの。その面に免じてその態度は許してやる」

尊大な態度を崩さず男はキャシーへと歩み寄ってくる。それだけで、彼女の背筋に悪寒が走った。男が放つそれは、カズトとはまるで逆のものだ。気持ち悪い。
全てが自分の思い通りになると思っている人間の顔。

「で、いつまで王であるこの俺に剣を向けるつもりだ?」
「っ??」

それは、質問という名の命令。従わなければ殺すという意思のこもった悪意。それを、キャシーが見逃すはずもなかった。
アクセルを使い、男へと斬撃とは呼べぬほどの一撃を入れる。手心など加えない一撃が鈍い音を響かせ、男を外へと吹き飛ばした。ここまで重い重い一撃を食らって、無事でいるものは普通に考えているわけがない。

「やったか?とか言わねえのか。まぁ、言ってもテンプレ過ぎて笑えねえか」

そのはずなのに、男はガラガラと瓦礫を踏み分けながら首をゴキりと鳴らす。
それを見て悟った。全力を出さなければ、こっちが殺される。
アクセルのギアを上げ、ダブルにして再び男へと切り掛かった。速度は単純にして
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