第33話 喧嘩屋
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伏見の戦いは深夜で決着がついた。新政府軍の完全勝利。が、高杉にしてみれば面白くもなんともなかった。
(楽しい喧嘩が出来るというから蘇ってみればこのざまか)
確かに骨のある人間はいた。
やられてもやられても突撃してくる。
(新撰組!!)
高杉は誠の旗を翻し突撃してくる一団を思い出した。
「この程度じゃないんだろう?新撰組」
高杉はにやりと笑い舌で唇を舐めた。負けると察するや速攻で撤退した本隊を高杉は見逃してはいなかった。
(奴等の逃げ場所はどこだ?)
高杉は隊員を呼びつけ地図に目をやった。
「なるほど」
高杉はにやりと笑い馬に跨った。
「俺は先回りして奴らを迎え討つ」
喧嘩屋と呼ばれた血が騒ぐ。
(奴らの向かう場所は橋本だ。あそこは地の利がいいからな)
疾風のごとく高杉は馬を走らせた。
旧幕府軍はすでに淀藩に裏切られ、橋本でも津藩の砲撃にあい戦意喪失していた。
が、新撰組擁する軍はなんとかもちこたえ淀川沿いを下り大阪城へと進軍しはじめた。
が、そこに一人の男が仁王立ちしていた。
「なんだ、あいつは?」
先頭を歩く侍が着流しの男を見てとった。が、その男は旧幕府軍をみると走り出し近づいてきた。
「おい、お前、止まれ!!」
その時、顔面に大きな石でも投げつけられた衝撃が走ったが、すでにその男の顔面は粉々に砕け散り死亡した。
その衝撃波はすさまじく顔面が無くなった男は血をまき散らしながら吹っ飛び、後ろにいた仲間たちを巻き込んでまさに将棋倒し状態になった。
その着流しの男はある隊旗を発見するとにやりと微笑み、将棋倒しとなった人間たちを踏みつけながらその隊旗の方に向かって走り出した。
「新撰組ぃーーー!!さぁ、喧嘩しよぉーーーーぜぇーーーー!」
男は大声を上げて突っ込んできた。
「貴様ぁー、高杉ぃーーーーーー!!」
近藤は豪刀・虎徹を素早く抜くと男が放った拳に合わせた。
ガキンという鈍い音が響いた。が、切れたのは男の拳ではなく、近藤の方が後方へ吹っ飛ばされていた。地を踏ん張っていなければ、空に飛ばされ、したたかに地面に叩きつけられていただろう。
「この化け物め」
近藤は高杉を睨みつけた。
「いいねぇー、やっぱり。喧嘩はこうでなくては」
高杉は不敵に笑った。
「近藤さん、この化け物は俺がやる」
近藤と高杉の間に土方が割って入った。
「お前は?」
高杉は近藤との戦いに水を差された感じでいらつき土方を睨みつけた。
「新撰組副長・土方歳三。高杉晋作、お前の相手は俺がしてやる」
土方は容保から譲り受けた柳生十兵衛の愛刀・典太ではなく、自分の愛刀をゆっくりと抜いた。
「ほぉ、お前があの鬼の土方かぁー。これまた、面白い喧嘩ができそうだなぁー」
高杉は大声で笑った。
「斉藤、原田、そう・・・」
土方
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