第七十一話
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たの」
まだまだ説教を続けそうな勢いだった王女だけど、どうやらこれ以上は無駄と考えたのか矛先を修めてくれた。
それがいいのかどうかは別問題なんだけれど。
「車の中にあった物には気付かなかったのかしら? 」
「うーん。何か段ボール箱とかが転がっていたな。そこから何かがあふれ出ていた気がする……。それが何だったかはよく覚えてないんだ」
何かの商品が転がっていたのは覚えている。
「そう。車の中にはタグ付きの商品が大量に転がっていたわ。きちんと箱に詰めていたんでしょうけれど、衝突事故であふれ出たんでしょう」
「……それってもしかして、盗品ってことなの? 」
閉店後の深夜に車を止めて何人かがすることといえばそれくらいしかないだろうな。
「そう。車内に散乱していた商品はすべてここの店の商品タグが付いたままだったわ。宝飾品も結構あったわよ。どうやら死んだあの男と仲間は店舗荒らしをしていたんでしょうね」
最近、学園都市だけでなく、周辺の街でも深夜の無人の店舗に侵入する窃盗団がニュースで取り上げられていた。
「すると殺されたあいつはニュースでやってた窃盗団の一員なのか」
「それは分からないわ。とりあえず他の連中を捕まえてみないとね。……でも寄生根に追われてまだ無事でいるとは思えないけれどね。とにかく急ぎましょう」
あんまり不吉なことを言わないでくれと思ったけれど、口には出さなかった。
シンと静まりかえった店内。
営業中は大勢の客で賑わってるであろうこの場所も今は物音一つしない。本来なら外の音や店内の機械の音があるからここまで静かなはずはない。施術された結界のために完全に外界から隔離され、全ての電力の供給も止められていることからこの無音の世界となっているんだ。
店内は広いからどこから探して行けばいいか分からない……。と思ったけど、陳列された商品やマネキンが倒れた場所を見つけるとあとは簡単だった。
どうやら寄生根に追われ、必死に逃げたんだろう痕跡が残されている。商品を投げつけたり、ジグザグに逃げながら商品をひっくり返して追撃をかわそうとした痕跡が。
近くでオオカミがウオ、ウオと吼える声が聞こえてきた。
声の聞こえるその先。
一階の奥の方。下着売り場のマネキンの側に一人の犠牲者を見つけた。
先ほど王女が送り込んだディスクが変形した式神が遺体の周囲をくるくると回っていた。
被害者は並べられたマネキンの間を逃げようとしたところをやられたんだろう。倒れたマネキンにしがみつくようにして倒れている。
上下のジャージにニットの帽子をかぶっている。
背中を右肩から斜めに腰のあたりまでザックリと何かで切り裂かれたような跡が無惨に口を開けている。かなり深く斬られたらし
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