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歌集「春雪花」
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 切なさを

  降りつもらせし

    雪雲の

 流るる先に

    君ぞありしか



 あの時のように…次から次へと降り頻る切ない白雪…。
 それを見るたびに彼を想い、会えないこの時間に淋しさを覚える…。

 そんな雪を降らす雲の先…そこへ彼がいるのかも知れない…そう思うと、何故だか無性に虚しくなり…心まで凍てついてしまうのだ…。



 年も暮れ

  日も絶え絶えに

    来ぬ君を

 想いてけふも

     雪を眺むる



 もう今年も終わりを迎えようとしている…。
 彼と会えないこの淋しい年も、新たな年へと変わるのかと思うと、来年…更に次の年へと、彼と会えない年月を数えるのだろうかと…虚しさだけが心を覆ってしまう…。

 彼は私になぞ会いに来てはくれないのだ…それでも彼を愛し、恋い焦がれ…儚い夢を見る…。

 空からは白雪が舞い落ちて、秋の名残さえ残さず白く染め上げる…。

 私もこれほど清い人間だったなら…彼に愛されただろうか…?

 否…それは有り得ないことだ…。

 私が…男である限り…。




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