十四話、六人目
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「いや、不躾とは欠片も思って無いけど……」
懇切丁寧に頭を下げたキリンにリュウは困ったように頭を掻く
「僕は構わないけど……何で僕なの?」
ー自分以外にもキリトがいるのに、
とリュウが言わんとしていることに気付いたのか、綺凛は苦笑を浮かべる。だが、そこには穏かだが、明確な意志が含まれていた
「はい、リュウさんが良いんです……多分、この中で一番強いのはリュウさんですよね?」
「「「うん、確かに」」」
「おいこら、何勝手に納得している?」
納得するキリト達に対して少し怒るリュウ……
「知りたいんです。私の、自分の力がどれだけ通じるのか」
そう言って真っ直ぐにリュウを見るキリン
「其で僕と?」
「ふふ。やっぱり可笑しいですよね」
どこかからかいを含んだ凜堂の問いにキリンは小さく笑ったが、直ぐに真剣な顔になり
ーだからお願いします、
とキリンはリュウを見つめる。何の迷いも無い、澄んだ意志に満ちた瞳……
其にリュウは根負けし
「……分かりました。受けましょう」
「本当ですか!?」
顔を輝かせたキリンにリュウは苦笑を見せるしかなかった
●○●○
「じゃあ、やろうか」
「アスナさん、合図お願いします」
取り合えず、広い場所へと移動するリュウとキリン
「じゃあ、やろうか」
「はい」
キリンが獣刀 牙断を抜き放つ。光を受け、その身を輝かせる研ぎ澄まされた刃
リュウもブラッティチェインを右腕に巻き付け、手甲のようにして構える
「「……」」
一瞬の沈黙
そして、
「参ります!」
始まった
初撃を放ったのはキリン
疾風の如き動きで間合いを詰め、雷のように閃く刃を繰り出す
リュウはその場から動かず、キリンの斬撃を真っ向から受け止め、ギィン! と硬質な音が周りに響く
「(斬る……!)」
だが、其を意にせず相手の反撃を許さないほどの連撃で圧倒する
そのまま次の一撃を放つ。リュウは落ち着いてそれを受けるが、次の瞬間には防御を掻い潜るような突きが迫っていた
逃れるためにリュウが後ろへと下がると、キリンが大きく踏み込んで次なる斬撃を打ち込んでくる
息をつくことすら許さぬ連続攻撃にリュウは完全に呑み込まれていた。リュウの速さが彼女に大きく劣っているわけではない。ただ、反撃しようにも、キリンには隙がほとんど見られない。技と技の繋ぎが恐ろしいほどに滑らか……
このままではリュウは刃の嵐に呑まれ、反撃すら出来ずに圧殺される
だが、リュウの顔に焦りは無い。神速の斬撃にギリギリと神経を削られながらも、反撃のチャンスを待つ
「(……今!!)」
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