第二章
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「この部活の服だよ」
「そしてこのバイエルンのね」
「民族衣装だよ」
「それは知ってるよ」
オットーもこう返す。
「この服は我がバイエルンの服だよ」
「それこそ昔からのね」
「けれど半ズボン自体がね」
「子供の穿くものだから」
「好きじゃないんだよ」
どうにもという口調での返事だった。
「こればかりはね」
「そんなこと言ってもね」
「うん、山はだね」
「その服で登るものだよ」
このバイエルンではというのだ。
「その為の服なんだよ」
「そうだね」
「だからね」
それで、というのだ。
「こればかりは仕方がないよ」
「それじゃあね」
「うん、もっとね」
それこそというのだ。
「長いズボンがいいんだけれど」
「君の好みで」
「そうなんだけれどね」
「まあこの服は今の季節だけだよ」
「春とか夏とか」
「秋や冬は」
こうした季節はというのだ。
「ちゃんと長ズボンだよ」
「流石に秋になると」
「寒いからね」
言うまでもなく半ズボンではだ。
「そうなるよ」
「そうだね、じゃあ今の季節は」
「君の好みは聞いたけれど」
それでもというのだ。
「これは仕方ないよ」
「そうなんだね」
「うん、だからね」
それでというのだ。
「今は我慢しよう。部活は嫌じゃないよね」
「こんないい部活ないね」
はっきりとだ、オットーはヴィルヘルムに答えた。
「可愛い女の子が多くて先輩も同級生もよくて」
「顧問の先生もいい人で」
「雰囲気凄くいいよ」
「こんないい部活本当にね」
「ないよ」
オットーはまた言った。
「それこそね」
「それじゃあね」
「うん、もうね」
それこそという返事だった。
「他の部活は考えられないよ」
「じゃあこのレーダーホーゼンもね」
「着ることだね」
「それしかないよ」
「そうだね、じゃあこの服は我慢して」
「それでいこう」
部活をとだ、ヴィルヘルムはオットーに告げた。こうしてオットーはそのレーダーホーゼンを着て部活でバイエルンの山を登り続けた。だが。
やはりレーダーホーゼン、色はこの部活では黒のそれがどうしても好きになれずだ。夏休みの部活のない時にだ。
オットーはヴィルヘルムにだ、こんなことを言った。
「今日は部活はないけれど登るよ」
「山に?」
「うん、長ズボンでね」
「そういえば今君は」
ヴィルヘルムはオットーの今の服を見た、見れば実際にくるぶしのところまでの黒い丈の長いズボンを穿いている。
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