第三章
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「内心どうなるかと思いながらだ」
「収めたのだな」
「そうだな」
「その通りだ、女は顔でも身体でも競うが」
「服でもだな」
「競うな」
「それも必死にな」
こう言うのだった。
「それこそ戦だ」
「女の戦だな」
「この世で一番厄介だという」
「それだ、それを収めることはだ」
まさにというのだ。
「細かく配慮が必要だ」
「そのことは同感だ」
「まさにその通りだ」
「女は怖い」
「少し間違えると大変なことになる」
ポセイドンとハーデスもそのことをわかっていて言う。
「このオリンポスもだ」
「御主がしくじっていたら今頃修羅場になっていたぞ」
「そうだな、このオリンポスは女神が多い」
主な神々以外にもだ。
「その中で揉めればな」
「もうそれでだ」
「どうしようもなくなるな」
「主神も大変だ、そういえば」
ここでだ、ゼウスは。
自分の兄弟達を見てだ、彼等に問うた。
「御主達最初はオリンポスにいたが今はそれぞれの世界の宮殿にいるが」
「うむ、女神達が多くなったからな」
「難を避けたのだ」
兄弟達も笑って返す。
「ヘラとデメテル、ヘスティアからな」
「さらに増えていってな」
「口喧嘩が増えていったのを見て」
「これは危ういと思ってだ」
それでというのだ。
「難を避けてだ」
「それぞれの治める世界に入ったのだ」
「やはりそうか、全く女は好きだが」
無類の女好きとしてだ、ゼウスはそれは否定しなかった。
しかしだ、同時にこうも言ったのだった。
「これ程厄介なものはない」
「ははは、向こうもそう言っているだろうがな」
「まさにその通りだな」
「では今は今回の騒ぎを収めたことを祝って」
「共に飲もうぞ」
「それではな」
ゼウスは兄弟達の言葉に頷いてだ、そのうえで。
酒と馳走を出して兄弟達で飲んだ、ヒマティオンの騒動を収めたことを祝って。
ヒマティオン 完
2015・12・26
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