第二章
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「この難局は」
「応援はしておるからな」
「何とかしてみよ」
ポセイドンとハーデスはこう言ってもだ、兄弟を助けようとはしなかった。それで生暖かく見守るだけであった。
そして兄弟達の助けを得られなかったゼウスはオリンポスにおいて女神達を見つつだ、難しい顔のままだった。その彼にすぐにだ。
デメテルがだ、緑のヒマティオン、ゆったりとして身体全体を覆い肩からはマントの様にさらに身体を覆っている見事なその服を着てゼウスに問うて来た。
「如何でしょうか、この服は」
「それをわしに聞くか」
「オリンポスの主神のお考えを聞きたいのです」
「見事だ」
まずはこう返したゼウスだった。
「実にな」
「左様ですか」
「よく似合っている」
こうデメテルに言うのだった。
「そなたには」
「オリンポスの女神達の中では」
「そうだな」
ここでだ、ゼウスは言葉を使うことにした。そして。
デメテルにはだ、こう言ったのだった。
「最高だ」
「私がですか」
「うむ、オリンポスの女神達の中でな」
「このヒマティオンがですね」
「最高だ」
まさにそれがというのだ。
「実にいいぞ」
「そうですか、私が最高なのですね」
「まさにな」
デメテルにはこう言った、そして。
次に来たヘスティアにだはだ、こう言ったのだった。
「最良だ」
「この赤いヒマティオンがですね」
「オリンポスの女神の中で最良だ」
「それは何よりです」
彼女にはこう言いだ、そして。
アテナには究極、アルテミスには至高、アフロディーテには至上と告げてだ。最後のヘラにはこう言った。
「一番だ」
「私がですね」
「そうだ、一番の美女でありだ」
ゼウスは内心冷や冷やしつつ妻に言った。
「一番のヒマティオンだ」
「やはりあなたにはわかりますか」
「うむ、自信を以ていけばいい」
内心はともかく顔は笑顔で言った。
「だからこれからは他の女神達と競うことはない様にな」
「わかりました」
こう笑顔で話す、そしてだった。
ゼウスはオリンポスでの騒動を収めた、そしてそのことを再びそれぞれが治める世界から来たポセイドンとハーデスに話した。
その話を聞いてだ、二柱の神々は言った。
「ふむ、流石だな」
「流石は御主だ」
「女の扱いには慣れている」
「よく収めたものだな」
「今回は苦労した」
ほっとした顔で言うゼウスだった。
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