『決闘』
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せめて零が此の手で、すべてから解放さしてやる...
どっちが死んでも最期の場所に相応しい。
思い出が多過ぎる此の場所...
深い処で繋がってた。
どんなに憎んでも消えん事実。
其れでも、許すことは不可能。
蓮も、零が受けてきた全てを知ってる。
だからこそ覚悟はしてるんやろ。
せやから此処に居るんやろ。
零の気配に?殺気に?気付いて振り向いた蓮。
『おー、やっぱ来たか』
『...』
『来る思た。覚悟はしとるで』
『......』
『すまなんだな、零。オマエが世の中で最もキライな人種に俺がなってもうたわ...ははは...ホンマあほやな俺!今更遅いっちゅーねんなぁ...』
『ホンマ遅いわ、アホ...!!』
涙止まらんし声も出ん...
昔に戻りかけの蓮。
どうせなら、もっとおかしかった頃だったら...
躊躇せずヤれたのに...。
『...ほな始めよか。蓮、アンタのこと殺すで?覚悟しぃや...』
『できとるって、んなもんとっくに...』
蓮の瞳の奥が哀しい。
でも...
情を持ったままだと殺せん。
逆に殺される。
桜の『死ぬなよ』ってコトバ。
舞の想い、あの時の憎しみ、殺意。
反芻する。
素手勝負。
情を剥ぎ取る。
殺意を...
蓮が舞にヤったこと。
殺しても殺しきれん...
殺してやる...!!
気付けば殴りかかってた。
時間の経過も解らん。
記憶も飛んだ。
曖昧な世界。
ふと我に返った。
目の前に桜が居た。
すごく不安そうな顔で、泣きながら零を呼んでくれてた。
横には舞。
零の血塗れの手を綺麗に拭いてくれてた。
そっか...来てくれてたんや。
舞、無事で良かった...。
前、桜に此処の話をしたことがあった。
蓮がおかしくなった頃。
覚えてたんや...嬉しいな。
『ありがと、来てくれて...あ、蓮は?!逃げられた?ヤり損ねた?!』
舞と桜が顔を見合わせた。
『零?』
『ん?』
『あれ...』
2人は指をさした。
蓮が寝てた。
『あー...失敗?!はぁ...またヤらなあかんのんかぁ...』
2人はまた顔を見合わせた。
『え、何?』
『死んどるで...記憶...?』
『あー...殴りかかって暫く記憶無いかも...でも人格変わってない。マジで死んどん?』
『脈ないもん』
『そっか...良かった...舞、ごめんな、舞の好きな人...殺してしもた』
舞は首を横に振った。
抱きついてきた。
号泣した。
零は舞の頭をゆっくり撫で続けた。
暫くしてから桜が言った。
『どぉすんのコレ』
『ん、電話してみる』
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