容赦のない男
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てもおかしくないと思う。蛇姫の鱗は1度もリザーブ枠を使っていないわけだし。
「だけどそれなら尚更おかしいでしょ?」
「うん?」
俺は一瞬納得仕掛けたけど、やっぱりグラシアンさんの考えが間違っているように感じる。
「レオンが氷の神って奴だったら、去年の大魔闘演舞に出れたんじゃないの!?」
噂が流れたのが1年前というなら、時期的に大魔闘演舞に参加できたはず。何度も言うけどレオンは初出場だから、去年とかは出ていないんだ。大魔闘演舞が終わってから加入したなら話は別だけど。
「その通りだ、シリル。すごい魔導士の話が流れたのが去年の5月から6月頃・・・大魔闘演舞は7月だから本来なら出場しているはずなんだよ。出場できるならな」
この発言を聞いた時、レオンの表情が明らかに歪んだ。いつも無表情で、飄々としているレオン。入場の時にタクトに突っ込んだ時くらいしか冷静さを崩した記憶が俺の中ではない彼が、明らかに顔を・・・誰の目から見てもわかるくらい歪ませた。
グラシアンさんはそれを見ると不敵な笑みを浮かべ、右手を体の前に持ってきて何かを作り出す。
50センチ程度の大きさの、オレンジの毛の色をしたセシリーやシャルルたちより一回り歳を取っているような印象を与える猫。どことなくその面影は、レオンやシェリアと一緒に蛇姫の鱗に所属しているエクシード、ラウルに似ているように感じる。
「ぐっ・・・」
レオンはそのオレンジ色の猫を見ると同時に頭に手を当て、顔をうつ向かせる。グラシアンさんはそれを見て作戦がはまったと確信を持ったのか、嬉しそうにしていた。
「どうやらお嬢の言ってたことは本当だったらしいな」
グラシアンさんはミネルバさんからレオンについての何かを教えられていたらしい。それがあのラウルに似ている猫に繋がるっていうのが俺には解せないけど、あのレオンの様子から察するに相当な心理的攻撃を受けるほどの何かがあるのだろうな。
「聞いたぜ、レオン・バスティア」
レオンはグラシアンさんの声を聞きたくないのか、耳に手を当て、さらには彼の作り出した幻を見ないために目を閉じて静かに呼吸を繰り返している。
しかし、いくら耳を塞いでいても多少の音は聞き取れてしまうものである。それにグラシアンさんなら念話が出来る魔導士に変化すれば直接頭に語りかけることが出来るわけだし、ほとんど無意味だと思う。だけどレオン的にはそうせざるを得ないほど、心に余裕がないのであろう。
グラシアンさんはそんなレオンの様子などお構い無しに話を続けている。
「クエストの最中に目の前に出てきたこの猫を殺して以来、氷の滅神魔法が使えな
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