05.姉ちゃんの声
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同じ空の下に、今僕はいる。
「シュウくんシュウくん、マイクをこっちに向けて下サイ」
金剛さんにそう言われ、我に返った僕は、金剛さんのいる方向にマイクを向けた。金剛さんは深く息を吸い、声を張り上げてこう言った。
「ひえーい!! シュウくんに会うためにも、救援部隊が駆けつけるまでがんばるデスヨー!!」
『お姉様もそこにいるんですか?』
「いえーす! シュウくんのお世話係をしてマース! 比叡が言ったとおり、とってもいい子デスネー!!」
『ハハッ! もうシュウくんと仲良くなったみたいですね!』
「榛名と霧島も、“やっと弟に会えた!”って喜んでマース!」
『ひぇええ?!!……し、シュウくんは、私の弟ですッ!!』
提督がプッと吹き出し、岸田が悔し涙を流しながら天井を見上げているのが見えた。……しかしこの二人の会話、聞いてるこっちは恥ずかしくてたまらない……
「だったら救援艦隊がそっちに着くまでがんばるネー! そしてこっちまで来てくれたシュウくんの元に帰ってくるデース!!」
『はい! ありがとうございますお姉様!! シュウくん!』
「はいっ!」
『また会えるんだね! またシュウくんに会えるんだね!!』
「うん! また会えるんだよ姉ちゃん!!」
『こっちに来てくれてありがとう! お姉ちゃん元気出た!!』
「よかった! その調子だ姉ちゃん!!」
『お姉ちゃん、気合! 入れて!! 行きます!!!』
提督が僕の方を叩き、マイクを催促してきた。僕が提督にマイクを渡すと、提督は即座にマイクのボタンを押し、口に近づけ通信を送る。
「どうだ比叡? 元気出たか?」
『はい司令! 私、シュウくんに会います! 会いたいです! 絶対に持ちこたえてみせます!!』
「その意気だ。定時連絡を忘れるな。何かあれば即時通信を送れ。絶対に持ちこたえろよ」
『はい司令! それでは!! ……シュウくん、待っててね!!』
ぷつっという音と共に通信が途絶えた。一刻を争う事態のはずなのに、姉ちゃんの明るさのおかげで執務室に漂う空気はピリピリとはしておらず、むしろリラックスした柔らかい空気が漂っている。
「テートク、シュウくんが来てくれてよかったネ」
「だな。あとであきつ丸に間宮でアイスでもおごってやりたい気分だ」
ん? なんでだ? ……まぁいいか。
「……提督」
相変わらず涙が零れないように天井を見上げている岸田が、そのままの体勢でそうつぶやく。提督は無言で頷き、通信機のスイッチをひねった。鎮守府内にチャイムが鳴り響き、提督が鎮守府内での施設内放送を行う合図だというのが、ぼくにも理解出来た。
『これより第二次比叡救出作戦を敢行する。加賀、球磨、キソー、ゴーヤの4名は直ちに執務室に集合。全員が揃い次
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