第3章 リーザス陥落
第76話 ホッホ峡の決戦X
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それは、とある脇道。
ヘルマン兵たちは、トーマの指示した何処か一箇所でも抜いて本陣を叩け、と言う指示の元に編成され、足音を殺しながら 進み続けていた。
「おい、見つかるんじゃないぞ。静かに素早く、だ」
「へへ、大丈夫ですよ。こんな狭い道にまで兵を置いてるわけがねえ。奴らは、あの無茶な鉄の車に縋ってるだけだ。接近しちまえばこっちのもんですよ」
少数に組織されたその部隊は、ヘルマン兵の中でも小柄な人選だ。ガタイの大きいヘルマン兵であれば、隠密行動は不可能。故に機動性を重視した部隊に編成されているのだ。だからこそ、近づき、必殺の一撃。即ち暗殺の行動が取りやすい。
敵将を討てば、それだけでも十分違う。それは兵力の数を考慮してでの進撃だった。
「ああ、そうだな。……くく、ここを抜ければ敵の喉笛を突ける。オレらの部隊をヘルマンの中でもでかくさせる絶好の機会って訳だぜ! トーマ将軍の後釜を狙う絶好の機会だな!」
「へへへ、そうですねぇ。ゆくゆくは副将や参謀、期待してますぜ?」
「はは、そうだな! だが、それもこのミッションを成功させてから………が、ばふっ」
最後までセリフを吐く事が出来なかった。
「……………」
掻き切った小隊長の喉笛から手を離し、かなみが冷めた瞳で兵を見る。
「へ? あ、ぅ………っ……!」
その人間を見る目とは思えない冷酷な瞳を見て、立ちすくんでしまうヘルマン兵。
「この戦いに込められている重みが違いすぎるよ!」
その直ぐ後に、怒号と共に一突きにされてしまうヘルマン兵。何が起きたのか判らない。ただ、判るのは自分の身体から槍が突如、生えてきたことだけであり、そのまま意識を永遠の闇へと手放してしまった。
「かなみちゃん、ナイスだよ」
「うん。メナドも。さぁ、次だよっ」
かなみとメナドは、再び走り出した。
身軽で夜目の利く者、周辺の地形に詳しい者達で編成された部隊であり、援護をさせつつ、忍者としての技能をフルに活かして、敵を必殺していく。メナドもかなみ程の速度は出ないものの、一瞬のダッシュ力。0から10にさせるかの様な脚力と、勤勉で熱心に訓練を続けていた技量を活かし、間合いを詰めて、瞬く間に倒していく。
「やっぱり、かなみちゃんは凄いね。僕、ついて行くのがやっとだよ」
「あはは……。まぁ 私は忍者だし。それを言ったらメナドだってそうじゃん。鎧着たままでこれだけの速度を出せるんだからさ?」
「えへへ。かなみちゃんとずっと特訓を重ねてきたからね。うん。いまこそ、発揮する時! って思ってさ?」
「うんっ、行こう! あ、でも気は抜かない様にね」
かなみは、少しだけ速度を上げて、メナドの前へと立つ。
「勿論! 最後まで気は抜
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