開戦前日;side 八葉重エリ
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た。彼も夜魔口がこんな行動を取ることはないと思っていた。いくら過激な彼女でも、そんなことはしないだろうと思っていたのだ。
生徒会によほどの恨みがあるとしか思えない。
「や、八葉重ちゃん‥‥」
暮古里が泣きながら話しかける。
九人とも、青い顔をしていた。
もう、家杉を助けることは出来ない。
もう、家杉に会うことは出来ない。
普通の女子高生が受け入れるには、過酷すぎる現実だった。
鵺野もチグリスも、なんと声をかけてやればいいのかわからない。
「わたし、行きます」
唐突に、八葉重エリが口を開いた。
全員が一斉に八葉重を見る。
「わたしが、家杉ちゃんを助けてくる」
「なに言ってんだ!」
一番早く反論したのは波虚だった。
「そんなこと出来るわけないだろ! あんたまで殺され―――」
「わたしも魔人なの」
「なっ―――」
波虚だけでなく、その場にいた全員が何度目かもわからない驚愕に包まれた。
「隠していてごめんね。でもわたしの能力なら勝算が無いわけじゃない、と思うの」
「だからって一人じゃどうにもならないだろ! あたしも一緒に―――」
「それは駄目だよ」
八葉重は波虚の言葉を遮る。間違ってもこれ以上友人を危険に晒すことは出来ない。
「確かに一人じゃ無茶だけど、波虚ちゃん達を守りながら助けに行くのは無理」
波虚は泣きそうな顔をする。
八葉重の決意は硬い。
自分の言葉で止められないことを悟った。
でも、大切な友人が二人も命の危機に晒されていると知って、最悪の展開を予想してしまう。
「だって、八葉重ちゃんまで死んじゃうかもしれないんだよ? そんなの―――」
「安心しなさい」
不安に潰されそうな波虚に、鵺野が言った。
「八葉重さんは一人ではないし死なない。小生も協力しよう」
今度は八葉重が驚かされた。
「言ってなかったかね? 小生も魔人だ。それなりに場数も踏んでいるつもりだよ」
「で、でも何で? ハルマゲドンに参加したくないから逃げたんじゃ―――」
波虚が不思議そうに問いかける。
「確かにそうだが、小生も家杉さんには世話になっていてね。クワガタの病気や怪我を何度も治して貰った」
―――あいつ。あれほど無闇に使わないようにって言っといたのに。
さらにもう一人。八葉重に手を貸す者がいた。
「八葉重さんが言う通り、確かに強力な能力なのかもしれないけど、一人の魔人の力で転校生を倒せるとは考えにくい。情報も全く無いのに」
「チグリスさん‥‥」
「大丈夫。私も着いていくし、ヌガーの指揮能力も高いから」
「ヌガー?」
「小生の渾名だ。八葉重さんもそう呼んでいいぞ」
鵺野は八葉重以外の八人に向き合う。
「そういうわけで、ここは小生達に任せてほしい。そ
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