開戦前日;side 八葉重エリ
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ことだったらわからないかもしれないが。と付け足した。
「あの、番長グループにいるのに、帰るんですか」
「理事長にやめろと言われたのでね。うちの番長も戦いたくない者は参加しなくていいと言ったし、ありがたく抜けさせて貰うことにしたんだ」
「私も生徒会に所属しているんですけど、大体同じ感じです。ちなみに生徒会の方にも家杉さんに関する情報は入ってきていません」
と、九人の疑問にあっさりと答えて見せた。それどころか両グループ共に家杉の能力について知っていた者はいなかったという。
「じゃあ、一体家杉ちゃんはどこに‥‥」
羽生が小さく呟いたきり、九人は何も言わなかった。もう、彼女らには家杉を探す当てが無い。
「確かに心配だな。チグリス」
「はい、探してみます」
鵺野に促され、チグリスは眼鏡の位置を調整する。その様子を不思議そうに見ている九人に鵺野が説明する。
「チグリスは情報収集に長けた魔人でね。もし家杉さんの失踪が人為的なものであれば見付けられるかもしれない」
その言葉を聞き驚く九人。真っ先に反応したのはチグリスと同じ図書委員の紺須田だった。
「チグリス先輩、魔人だったんですか!?」
「うん。隠してるつもりはなかったんだけどね」
―――生徒会だしね。
「私の能力はグラスホッパーっていって、眼鏡をかけてる人の視界をジャックできるの。範囲は結構広いから、この学園内に家杉さんがいるなら何かわかるかも」
言った直後にチグリスは能力を発動する。
眼鏡のレンズに様々な映像が映る。それをじっと見つめるチグリス。それを八葉重達と鵺野は固唾を飲んで見守る。
やがてチグリスの表情が凍りつき、能力の発動が終わった直後に「なんてこと‥‥」と呟き一同が不安に包まれる。
チグリスは九人に向き合い、言った。
「家杉さんの状況が判ったわ」
九人は皆、驚いてチグリスに注目する。
「状況は考えられる限り最悪よ」
「!?」
不安に駆られた九人に、チグリスは重々しく告げた。
「家杉よしえさんは、転校生への報酬にされてしまっているわ」
八葉重達の表情が凍り付いた。鵺野も同様の反応を見せる。
チグリスは続ける。
「家杉さんの居場所は運動部用倉庫に隠されている地下室の中。縄で縛られていて身動きがとれない状態。口もガムテープで塞がれているから声も出せないでしょうね」
転校生。
それがどういう存在かは八葉重も知っている。
今まで都市伝説のようなものだと思っていた。
「転校生、だと!? なんでそんなものが―――」
「どうやら夜魔口悪夢が呼び出したようです。ちなみに生徒会も同様の考えを持っていたみたいで‥‥」
鵺野は絶句する。
一体何を考えているのだ!?
鵺野は先程番長グループに家杉はいないと言った自分を恥じ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ