氷の神
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裕など本来なかったのである。なぜならここは
「水竜の・・・」
戦場なのだから。
「翼撃!!」
「きゃああああ!!」
シリルのドラゴンの翼のような一撃により空中へと投げ出されるソフィア。シリルはそんな彼女にトドメを刺そうと両手首を合わせて例の技の姿勢に入る。
「雲竜水!!」
広範囲に放たれた威力のある水。水は時と場合によっては人の命をも奪うほどの威力がある。それゆえにこれだけのパワーを秘めた水は人1人を倒すの十分な量と言える。
相手がこの女でなければの話だが。
「やられた分はソフィアもやり返すよ!!」
「なっ!?」
ソフィアは動きが限定されがちな空中にいるにも関わらず、器用に体を回して体勢を建て直すとシリルの魔法に魔力を集中させた右手をぶつける。
するとシリルの強烈な一撃はものの見事に跳ね返され彼に向かって・・・それも威力を増して返ってくる。
「えぇぇぇぇぇぇ!?」
避けようにも自分が放った魔法の範囲が広かったことが仇となり、一瞬で飲み込まれるシリル。
「ありゃ。間違ってシリルちゃん倒しちゃったかな?」
ソフィアは地面に着地すると魔法がぶつかった衝撃で砂煙に包まれている方を見つめてそう呟く。
ガタッ
「!!」
シリルが無事なのか確認しようとしていたはずのソフィアは後ろから微かではあるが物音を聞き取り、その正体を確認するために振り返る。
「はぁっ!!」
そこには剣咬の虎のスティングが・・・いや、スティングに変化したグラシアンが彼女に向かって蹴りを放とうとしているのが見えた。
「キャッチ!!」
「は!?」
ソフィアは顔に飛んできていたスティングの蹴りを一昨日のナツのように片手で平然と受け止めてみせる。スティングは簡単に受け止められてしまったことに驚きを隠すことができない。
「言ったでしょ?ソフィアは剣咬の虎を許さないって!!」
ソフィアは片足を掴んだまま地面についている方の足の脛の部分に向かって蹴りを入れる。
「いってぇ!!」
誰だって脛を蹴られるのは相当に痛い。しかもソフィアは手加減など当然するわけもなく彼の足を撃ち抜いた。
スティングはあまりの痛さに片膝をつこうとしたがソフィアにもう片方の足を捕まれているためにそれをすることができず、ただただ痛みに顔を歪めるしかない。
「ほらほらほらほら!!」
ソフィアはそのグラシアンに容赦なく追い撃ちを加えていく。腹部に向かって足を持っていない方の手でパンチを次々に叩き込み、最後は持っている足を投げてグラシアンを頭から地面に倒れるようにする。
「フーッ。それじゃあこれで・・
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