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八神家の養父切嗣
五話:旅立ち
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かし、優しい家族と、この真っすぐな友が居れば道を誤ることはないだろう。

「ほな、これからもよろしくな」
「よろしくね」
「うん」

 三人の少女は固く手を握り合う。
 それは未来への旅路の始まり、新たな時代への導き。
 その果てにどんな運命(Fate)が待ち受けるか、それはまだ、誰にもわからない。





「今回の失敗をどう受け取るかね?」
「結果的にはより良いものとなった。エミヤに関しても変わらず“正義”に尽くす所存だと」
「ならば、そのまま使えばいいのでは? 使い潰すにしてもあれはまだ使える。使える駒を無意味に捨てるのは愚策」
「うむ、それで今回は問題ないであろう。結果的に管理局の戦力も増えた。そうと決まれば早速奴に指示をだそう」

 暗い闇の中、姿なき声が会話を交わす。
 声だけが不気味に響く。その声は不思議な程に威圧感と威厳に満ち溢れている。
 生半可な者であればその声だけで従ってしまいかねない。
 それは会話を行う三者の人生の重み故。

「それで、スカリエッティの方はどうなっておる?」
「順調ではあるのだが、どうにもあれはコントロールが効かん。もう少し従順にすべきだったか」
「まあ、如何なる時も余裕を持っておけば万が一の失敗もない」

 かつて、三者は願った。平和な世界が欲しいと。
 そのために人生の全てをかけ、世界に僅かではあるが安寧をもたらした。
 だが、それではまだ足りない。望んだ世界には遠く及ばない。
 故に彼らはその身を捨て去った。

「世界はかつてよりは平和になった。だが、望む世界にはまだ遠い」
「それ故に、こうして生き長らえておる」
「全ては我らの願いの根源に至るために」

 肉体を捨て去り、脳髄だけの姿となりながらも彼らは生き続ける。
 自分達が選んだ指導者の統治により、世界を平和にしたいというエゴを満たすために。
 己が信じる独善的な正義を貫き続ける。


『次元世界に永遠の平和を』


 例え、その過程でどれだけの犠牲と悲しみが生まれようとも戸惑うことなく。
 彼の者達は己の無限の欲望に従い続けるだろう。
 ―――己が正義を決して疑うことなく。

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