五話:旅立ち
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ないだろうかと若干不安になるはやてだったが話の腰を折るわけにもいかないので気にせずに続ける。
「私達はな、何も償いの為だけに管理局に入るわけやないんよ。折角、警察みたいな職業に就くんやからこれを利用せん手はない」
「……はやてって意外と腹黒いタイプ?」
「なんや、失礼やな。こちらとなぁ、子ども相手にズルしてでも勝とうとする父親に育てられたんやで。色々と頭使う癖がついとるんよ」
はやては思い出す。親子でポーカーをした時に初手からイカサマで勝ちに来た切嗣の姿を。
あの時は一日中話すのをやめたことで逆襲した。
だが、切嗣はそれに懲りることなく何か勝負をするときは一切の容赦がなかった。
そのおかげと言うのもなんだが、騎士達が家に来てから遊ぶ時は、はやてが全戦全勝だった。
最初は騎士達が気を使っているのかと思ったがヴィータとシャマルがかなり真面目な顔で涙を流していたことから自分が強くなりすぎたのだと悟った。
特に、某、まんまるピンクの星の戦士が乗り物に乗って争うゲームでは大変だった。
決して復帰を許さないように徹底的にシグナムのまんまるピンクを跳ね飛ばし続けた結果、土下座をして謝られたのは記憶に新しい。
「まあ、それはともかくや。私達の現状の目標は―――おとんを捕まえることや」
「はやてちゃんの……お父さんを?」
「そや、おとんが逃げるなら追って捕まえる。ぎょーさん、言わんといけんことがあるんや」
真剣な目で語るはやてに続くように騎士達は頷く。
なのはとフェイトもその顔に彼女達が本気なのだと悟り、黙って聞く。
「リインフォースが言うとった。『また会える』って。やから、また会えるように努力する。諦めないなら必ず叶うって私は信じてる」
「はやてちゃん……」
「そんでな、二人にはその手伝いをして貰いたいなって思ったんやけど……どうや?」
例え、自分たち家族だけでも、いや、自分一人でも追い続けるつもりだ。
だが、しかし。孤独で居続ければいつかは自分も養父のようになってしまいかねない。
それでは例え、捕まえたとしても合わせる顔がない。
切嗣が個人で行くというのなら、自分は多くの友と家族と共に行く。
それがはやての考え抜いた上での結論であった。
「もちろん! なんだって手伝うからね!」
「うん。それに、私は執務官を目指しているから、個人的にも追えると思うし」
「おおきに、ありがとうな。なのはちゃん、フェイトちゃん」
満面の笑みで答えてくれた親友に、自然とはやての顔も明るくなる。
悲しみの記憶は決して消えてくれない。だが、それでいいのだ。
悲しみを糧に、希望を道標に、ただ歩き続けていけばいい。
途中で挫けることも、道を逸れることもあるだろう。
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