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八神家の養父切嗣
五話:旅立ち
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問われるだろう?」

 ヴォルケンリッターは疑似魔法生命体として定義される。
 簡単に考えればはやての使い魔のようなものだ。
 使い魔が罪を犯せば当然のことながらそれを放置した主へも罪は及ぶ。

「このままなら全員で保護観察を受けてもらうことになるが、ここで別の要素が加わる」
「別の要素?」
「ああ、それは―――衛宮切嗣だ」

 その名前を出した瞬間にはやての瞳が僅かに悲しみに揺れる。
 クロノもそれに気づくが自分がどう言っても解決できるものではないので淡々と事実だけを告げていくことにする。

「今回、衛宮切嗣は闇の書を完成させようと暗躍していた。それは間違えのない事実だ。そして、何よりも君達を騙していた」
「でも……おとんは」
「言いたいことがあるのは分かるが今は黙って聞いてほしい。君の立場はある意味で被害者でもあるわけだ。望まぬうちに蒐集をさせられたね」

 そこで一旦言葉を切り、話していいものかと若干の戸惑いを見せるクロノ。
 はやての方は、自分は決して騙されていただけではないと言いたかったが言われたとおりに黙って次の言葉を待っている。
 その様子にクロノも覚悟を決めて話を再開する。

「彼に脅されて蒐集を行わされた。催眠をかけられた。あるいは騎士達ははやてを人質に取られ否応なしに蒐集を行った。そう言った事実があれば無罪にもっていける」
「それは…! そのようなことはッ!」
「だが、父親という決して子供が逆らえない立場にあった人間が黒幕だったというのは事実だ。僕も嫌いだが、一つの、最善の選択肢なら示さないわけにもいかない」

 暗に虚偽の証言を出せばはやてが助かるという申し出に声を荒げるシグナム。
 クロノも渋い顔をしながら、それが最もはやてにとって良い選択肢なので告げたと答える。
 彼としてはこういったことは本来許せない性格なのだが、はやての為を思い提示した。
 何よりも、実際にそういったことがあったという可能性もあるのだ。
 確かめること自体は必要であるが直接聞いたのは、はやてにどちらかを選ぶ権利を与えるためだ。

「何よりも、今回の黒幕はあのエミヤだ。ヒールにはもってこいだ」
「なぁ……さっきからエミヤって言ってるけど、切嗣は八神じゃねえのかよ?」
「確証はないが、今回の件とロッテとアリアの証言から考えれば十中八九で魔導士殺しのエミヤの正体は彼だろう」
「魔導士殺しのエミヤ……」

 物騒な二つ名に表情を硬くするはやて達。
 彼女達は誰よりも切嗣のことを知っていると同時に誰よりも彼のことを知らない。
 衛宮切嗣の本当の姿を知っていても仮の姿は知らないのだ。

「五年程前まで精力的に活動していた、魔導士殺しに特化したフリーランスの暗殺者の名前だ」
「五年前って……おと
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