第四章
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「靴は勿論です」
「ハイヒールね」
「こちらにあります」
こう言って白いそれを出してきた。
「色はこれにしました」
「ジュップに隠れて見えないけれど」
「あえてです」
「ストッキングの色に合わせたのね」
「そうしました」
こだわってというのだ。
「如何でしょうか」
「いいわ、それじゃあね」
「はい、靴はこれで」
ハイヒールを履くのだった、そうして下を整え。
今度はローブを羽織った、やはり緑のシルクでありレースや刺繍で飾られている。そこに西洋の扇子、羽根飾りの付いたぞれを持って。
髪は後ろに上げてそこでまとめてうなじを見せてだ。左右はカールにした。とはいっても縦ロールではない。
その格好になりメイクも整えてだ、完全にロココ期日の貴夫人になってだった。
サラはスタッフ達にだ、微笑んで言った。
「有り難う、これでね」
「もうですね」
「完全に役になりましたね」
「貴夫人に」
「今回も演じるわ」
それこそ完璧にというのだ。
「それも楽しくね」
「お願いします」
「いい舞台にしましょう」
こう話してだ、そしてだった。
サラは貴夫人とlして舞台に赴いた、そうしてだった。
衣装を着てのリハーサルから本番を演じた、その舞台は好評で。
サラは夫にだ、家で笑顔で言った。
「演技も演出もシナリオもね」
「全てがだね」
「好評だったわ」
普段着のズボンで快適にソファーに座って言うのだった。
「お客さんからもマスコミからもネットでもね」
「それは何よりだね」
「苦労の介があったわ」
実にというのだ。
「本当にね」
「あの服を着た苦労だね」
「ローブ=ア=ラ=フランセーズはね」
それこそというのだ。
「着るだけでもかなり苦しいけれど」
「華やかで人気はあるんだよね」
「ええ、そして着る方もね」
「苦しいけれど」
「華やかで奇麗だから」
それ故にというのだ。
「いいのよ」
「そういうことだね」
「そうなのよ」
ことが成功して満足している顔での言葉だった。
「だから好きなことは好きよ」
「苦労して着るだけのものはある」
「だからね」
それで、というのだ。
「また機会があれば着たいわ」
「苦労してでもだね」
「その為にこれからもね」
「美容、特にスタイルには気をつける」
「そうしていくわ」
そのローブ=ア=ラ=フランセーズを見事に着る為にというのだ。サラはシャルルに微笑んで言った。しかし。
舞台から一月後に妊娠が判明してだ、苦笑いになって言った。
「暫くあのドレスは着られないわね」
「そうだね、今度のドレスは」
「マタニティよ」
笑ってこう言うのだった。
「そっちになるわ」
「暫くはね」
「お休みも取って」
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