第二百三十五話 動かぬ者達その九
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「我等が天下を乱そうとするのを妨げる」
「だからじゃ」
「ここはじゃ」
「あの者達を探し出し」
「そして消す」
「何としても」
「早く探し出せ」
「何としてもな」
「駿府に戻る前に」
こうした話をしてだった、そのうえで。
彼等も必死に家康の行方を探した、だがそれでもだった。
家康の行方はようとして知れなかった、彼等はこのことに焦りを感じていた。しかもそのうえでだった。
都の焼け落ちた本能寺と二条城を探し回った、だが。
信長の亡骸も信忠のそれもだ、全くだった。
「炭にまでなっている骸は多い」
「しかしな」
「どれが織田信長の骸だ」
「織田信忠の骸だ」
「わからぬ」
「どれがどれなのか」
「一体全体」
このことにも焦りを感じていたのだ。
「死んだにしてもな」
「確かなことはわからぬ」
「何としても探せ」
「さもないと安心出来ぬ」
「御所には天皇もおらぬ」
「一体どういうことだ」
「天皇も公家達も何処に行った」
御所のこともだ、彼等は闇の中で話した。
「天皇を我等の手に入れなければ」
「少なくとも操っている明智光秀のものとせよ」
「さもなければ後々厄介だ」
「この国の表は天皇をどうするかで決まる」
「そこで天皇を得られないのではな」
「織田信長を倒しても後が続かぬ」
「早く探し出すのだ」
こう話して御所のことでも苛立ちを感じていた、とかく彼等はここに来て焦っていた。それは中央にいる者も同じだった。
「一日探した」
その苛立った声での言葉だった。
「よくな」
「しかしですな」
「それでもですな」
「織田信長も織田信忠も御所も」
「全てですな」
「見つからなかった、それならばじゃ」
止むを得ないとだ、言葉の中にこうした言葉も含んでいた。
「安土に進むしかない」
「そのことを諦め」
「そして、ですな」
「あの城を焼き」
「それで目の上のたん瘤を潰し」
「伊賀においてですな」
「挙兵じゃ」
それをしようというのだ。
「ではよいな」
「jはい、都のことはこれまでにして」
「安土に兵を進める」
「そうしますな」
「ここは」
「そうせよ」
苦いが決断した言葉だった。
「よいな」
「さすれば」
「その様に」
「我等もです」
「伊賀に入ります」
「わしは明智の者達を操り安土に向かう」
老人の声は周りに言った。
「伊賀のことは任せた」
「はい、さすれば」
「そちらのことはお任せ下さい」
「では次の動きに移りましょう」
「これより」
闇の者達も応えてだ、そしてだった。
彼等は次の手に移った、本能寺と二条城の焼け落ちた跡を一日探し回った明智の軍勢はその主からこう命じられた。
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