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第一章
仲直り
本当に。下らない理由だった。
黒髪を奇麗に七三分けにした白い肌、はっきりとした眉に印象的な黒い目、アジア系だけでなくヨーロッパ系も入った顔立ちである。
背も高い。その彼がだ。
バスケ部の部活の練習の時にかりかりとしていた。その彼、古田隼にだ。同じバスケ部員達が尋ねる。
練習の場の学校の体育館の中ではバスケ部の面々だけでなくバレー部の面々も練習をしている。その中でだ。彼等は隼に問うたのである。
「おい、どうしたんだよ」
「何か妙に機嫌悪いな」
「昨日横浜珍しく勝っただろ」
彼は横浜ファンだ。尚アンチ巨人でもある。
「それで何で怒ってるんだ?」
「何か面白くないことあったか?」
「鯨のことか?」
彼の好物だ。彼の父親はオーストラリア人で学校の先生をしている。母親は日本人でカラオケ店を経営している。だからハーフなのである。
彼の父はオーストラリア人だが鯨を好物としている。その影響で彼も鯨が好きなのだ。しかし父親の祖国であるオーストラリアは大の捕鯨反対国なのでそれが彼を苛立たせいるのだ。
それでだ。仲間達に彼にこのことを問うたのだ。しかしだった。
隼は不機嫌そのものの顔と声でだ。こう仲間達に言ったのである。
「別にな」
「違うってか?」
「横浜でも鯨でもないのかよ」
「じゃあ何だ?不調か?」
「特に調子は悪くないだろ、部活も」
「それでどうしてなんだよ」
「喧嘩したんだよ」
それでだと話す彼だった。
「ちょっとな」
「ああ、梨香子ちゃんな」
「あの娘と喧嘩したんだな」
「それで不機嫌なのか」
「そうだったんだな」
「そうだよ。全くなあ」
不機嫌そのものの顔で言う隼だった。
「ケチャップじゃないと駄目だろ」
「何でケチャップなんだよ」
「そこで何でケチャップだ?」
「何かあったのかよ」
「昼な。学食で一緒に食ったんだよ」
その彼女とだというのだ。学生食堂で昼食を採ったというのだ。
だがそこでだ。何があったかというと。
「俺もあいつもあれだよ。ハンバーグ定食頼んだんだよ」
「ハンバーグ定食なあ」
「それか」
「それ頼んだんだな」
「で、俺はハンバーグにケチャップをかけたんだ」
それでケチャップだというのである。
「けれどあいつはな」
「梨香子ちゃんは?」
「あの娘はどうしたんだ?」
「ハンバーグ定食に何したんだよ」
「マヨネーズかけたんだよ」
こうだ。不機嫌な顔で言ったのである。
「どう思う?これ」
「ハンバーグにマヨネーズなあ」
「それって普通だよなあ」
「まあ俺はウスターソースだけれどな」
「俺は醤油な」
この辺りはそれぞれだった。しかしだ。
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