8話
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私達は彼と模擬戦をした。だけど、今日の彼はどこか戦闘に集中出来ていないというか…はっきり言えば弱かった。最後に戦ったあの時よりも、どこか信念が無いというか…。
8対1とはいえ、あの時の彼なら確実に捌いて見せたはず。だけど、彼はアインハルトちゃんの攻撃で吹き飛ばされ、気を失っている。
そんな彼を介抱しようと、彼に近づこうとした時私達は異変を感じた。世界が塗り替えられていく感覚と言ったら良いのだろうか。何かが起こる予感がした。そしてそれは形となって世界に現れた。
空は青く澄んでいるが、赤い荒野に無数の剣が突き刺さっている。その剣が主が来るのを待っていたかのように呼応しているように思える。その剣が向かっているのは荒野にある丘の上。その丘にいる1人が空を見上げている。
「白夜…?」
「…あぁ。そうだったのか…。オレは…」
彼は此方へ視線を向ける。
「…ありがとう。おかげでオレは漸く、戦う理由を思い出せた。」
「戦う理由?白夜くん、それは…」
「オレだけの理由。オレが世界を旅する過程で得た、誰かから貰った理由じゃなく、オレ自身の理由だ」
「白夜…?」
「フェイト、なのは。オレはな、ずっと正義の味方になりたかった。世界中で報われない人を助けたかった。でもそれはあの子から与えられた理由だった。」
「与えられた…理由?」
「そうだ。だが、アインハルトにやられて思い出したよ。オレは…報われない人を助けたかったんじゃない。報われない人だろうが、悲しむ人だろうがな、オレは皆の笑顔を護りたかっただけなんだよ。」
「笑顔…」
「世界中を旅する過程で見た子供達の笑顔や、大人の心の底からの笑顔。それらを護りたかったんだよ、オレはね。」
「……」
「オレは戦う理由を思い出した。ならばもう一度立ち上がれる。模擬戦とはいえ、お前たちを圧倒できる。さぁ、行くぞ。管理局の英雄共。魔力の貯蔵は充分か。」
皆、世界が変わった事に驚いていた。この中でコレを知っているのは2人だけ。当然、なのはとフェイトである。彼女たちは一度、闇の書事件の時にそれを見ていた。
当時の彼は彼女たち程までは行かなくともそれなりの実力者だった。そんな時だった。闇の書事件の最終決戦時に彼はそれを使った。その剣が突き刺さる世界を以って、闇の書を止めた。
「…これは…一体」
「これはね、彼の心の世界だよ」
「心の世界?」
「白夜は自分の心を世界にする手段を持ってるの。」
「そうだ。これはオレの世界。いや、正確にはオレでは無いが。…『彼』とは少し違うが、同じものを目指した結果だ。さぁ、かかってくるがいい。今こそ、真髄を見せよう。覇王に聖王。エースオブエース、管理局の金色の死神。そして
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