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大海原でつかまえて
03.提督と岸田は似ていた
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て命を狙われている」
「はい?!!」

 岸田が素っ頓狂な声を上げて、またワタリガニに退化し始めんばかりの勢いで痙攣しはじめた。しかし、この事実は僕にとっても驚きだ……まさかこの甲殻類が……

 提督の説明によると、この鎮守府は司令部から“ノーリスクでマックスリターンを得る奇跡の鎮守府”と言われるほどの戦果を上げているらしい。そして、その指揮を取り、鎮守府を運営しているのは今目の前にいる提督なのだが、実際は彼は岸田のゲームプレイを再現しているに過ぎず、この鎮守府で奇跡とも言える多大な戦果を上げているのは、岸田の判断によるところが大きい……とのことだ。提督には、実際には岸田に操られている自覚というのはないのだが、その辺に『提督が岸田の分身』『提督はこっちの世界での岸田』という側面につながっている……というよく分からない理論を展開していた。

 提督は自身の席に戻り、椅子に座って帽子を脱ぐと、まっすぐにこちらを見据えた。

「この事実に関しては、深海棲艦の方が我々よりも早く真相に辿り着いた。奴らは“艦娘との戦争に勝利するには、ゲームとして鎮守府を背後から操っている無力な奴らを抹殺すればいい”という結論に達したらしい。シュウと比叡が撃沈したレ級は、元々は岸田の抹殺が目的だったようだ」

 僕達の世界に深海棲艦が遠征してしまえば、まだ世界を飛び越える技術を持たない鎮守府は手出しが出来なくなる。そうなる前になんとか岸田を確保し、この鎮守府で岸田を守りぬこうというのが、岸田をこっちの世界に連れてきた意図らしい。

「でも提督、だったら比叡姉ちゃんやあきつ丸さんが僕達の世界に来れた方法は?」
「先だって全国の鎮守府を巻き込んだ大規模な作戦があった。その際に敵勢力から奪取した拠点の一つに、そちらの世界への渡航設備が備わった拠点が運良く見つかったんだよ。あきつ丸はその渡航設備を使ってそっちの世界に渡ったんだ」

 あーなるほど。敵のものを手に入れたのか……。
 
「姉ちゃんは?」
「ちょうどあきつ丸と一緒にこっちに渡ってきた君たちと同じ理屈で、渡航するレ級に巻き込まれる形でそっちの世界に行ったんだろう。君たちも体験したとおり、実際に渡航する際は、発動してから渡航するまでしばしのタイムラグがある。そのタイムラグ中のレ級ともみくちゃになり、レ級と一緒に渡航してしまった……比叡の証言から推理するとこんなとこだな。実際に比叡がバットを持ち帰ってきたり、あきつ丸と一緒にきみたちがこっちに来られたのがその証拠だ」

 なるほど。よく分からんけど、とりあえずは納得した。

 それで今回岸田の確保を目的に、あきつ丸と比叡姉ちゃんが僕らの世界に渡ろうとしたところ、設備奪還のために侵攻してきた敵に遭遇。姉ちゃんは設備とあきつ丸さんを守るために残り、あ
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