03.提督と岸田は似ていた
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』と言いながら自身の帽子をかぶり直し、こちらを見据えた。
「いきなりのことで色々訳がわからないとは思うが……まずは自己紹介をさせてもらいたい」
「はい」
「俺はこの鎮守府を預かっている叢雲たんチュッチュ提督だ」
「ぶふッ」
いきなり真面目な顔をして“叢雲たんチュッチュ”とか言い出すものだから、僕は思わず吹いてしまった。やっぱオカシイだろこの名前。
「なぜ笑うッ?!」
「いやだって……すごい真面目な顔で“叢雲たんチュッチュ”て……」
「名付け親の岸田にいえよぉぉおおおおン?!!!」
そう言いながらその男性……提督はスベスベマンジュウガニに退化して痙攣しながら泣きだした。一方、当の名付け親の岸田本人は、そんな提督を見て指差して大笑いしている。一体誰のせいだと思ってるんだこいつは。
「“叢雲たんチュッチュ”て!! いや名付けたの確かに俺だけど!! ブハッ……」
「お二人とも! 提督は自身の名前が珍妙なことをとても……ブフッ……気にされています! それ以上おちょくるのは……!! おやめ……ブホッ」
大淀さんは笑いをこらえている僕と大笑いしている岸田を諌めるが、彼女もまた笑いをこらえきれてないのを、僕が見逃すはずはない。
「ま、まぁそれはさておき……」
……あ、提督がスベスベマンジュウガニから人間に進化した。
「岸田。そして橋立シュウ。当鎮守府を代表して二人を歓迎する。よく来てくれた」
甲殻類から人間に進化した提督は、僕達の方に来ると手袋を外して握手をしてくれた。その握手は力強く、なにか強い意思のようなものを感じ取れる握手だった。提督は握手が終わると自身の席に戻り大淀さんに何か伝えると、大淀さんは頷いて部屋の奥にある扉から室外に出ていった。
「二人には色々と話があるんだが……あきつ丸からどこまで話は聞いている?」
「姉ちゃ……比叡さんが囮になって敵に囲まれているってことぐらいです。具体的なことは特にはまだ何も……」
「そうか。橋立……あーめんどくせ。シュウでいい?」
「いいですよ」
「ありがと。シュウが来るのは元々はイレギュラーな事態で、本来のあきつ丸と比叡の目的は、岸田をここまで連れてくることだったってのは?」
そういえばあきつ丸さんは、僕を呼ぶのは独断だって言ってたっけ。
「いや、別に来ちゃダメだったわけではない。実際、俺を始めとしたうちの子たちも、岸田と同じくきみに会うのを楽しみにしていた。だから単にイレギュラーってだけの話で、そこは気にしないでくれ」
う……そんなこと言われると恥ずかしいような……あと岸田、僕をそんな目で睨まないでくれ……
「そして、本来の目的……岸田に鎮守府に来てもらった理由だが、きみは深海棲艦の勢力から、最重要人物とし
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