説明開始
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うかなー。えいっ」
「あだだだだだだだだだだだだだだだだだ皮が皮が皮があだだああああぁぁぁ!?」
暴力的かつ凶暴的なやり取りを、何がそうさせるか慧理那も未春も微笑ましそうに見ている。
が、総二は当然の如く引き気味であり、グラトニーはジト目無表情の中に呆れが混ざっていた。
正常な判断がどちらなのか、説明するまでもあるまい。
と―――
『おいお前ラ。これ以上脱線しねえ内ニ、イースナとか言う奴の話に入った方がいいんじゃねェカ?』
原始人も真っ青の暴力が依然やまないのに業を煮やしたか、グラトニーの中より響く声が愛香達目掛け割って入る。
「そーよ、ラースが言わなかったら頭から軽く飛ぶとこだったわ! 洗い浚い話してもらうからねトゥアール!」
「俺も気になるしな……言いたくない事以外、なるべく話してくれよ」
総二と愛香、双方の言い分を合わせれば若干どころではない矛盾が生じるが、其処に対してはグラトニー達も話を逸らす気は無いか、ツッコミを入れず黙っている。
ひねられ引っ張られた皮膚へ息を吹きかけながら、埃をはたいてトゥアールは立ち上がり、疲れたとばかりに息を吐く……原因は己なのに。
そしてテーブルの前にたたずむと同時、何故か音が出る程思い切り両手でぶっ叩いた。
「最初に断っておきますが、私はまっさらな清い身体です! あの子とは何の関係もありませんでした!」
「何で女の子の話一つでそんな単語が出てくんのよ!?」
『寧ろヨォ、んな事言ってやがるから馬鹿みたいな勘違いが飛び出すんじゃねェカ?』
同じく机を殴打して当然な疑問をぶつける愛香と、呆れた声色で意外と真っ当な所を突くラース。
正論であったせいでラース相手に反論は難しいと感じたのか、トゥアールは何時も通り愛香の方へ向けて―――見せつけるように胸へと、余りに不自然に手を沈ませながら憮然となる。
「愛香さんなら今更どんなスキャンダルがあろうが、精々周囲からの取り扱いがチンパンジーがゴリラに変わるぐらいでしょう! ああ筋力上がったね、で済みますが清純派ヒロインの私はそうはいきません! 些細な誤解さえ命取りとなるのだからここで白黒ハッキリ―――」
「……いい加減、脱線止めて……。……余計な事言うなら、黙れ」
底冷えする様なグラトニーの声に、激昂しかけていた愛香も、幼女好きであるトゥアールさえも震え上がる。
その声を向けられていない筈の、総二達ですらちょっと仰け反ってしまっていた。
どうも先程からしなくてもいいやり取りを展開し、話をあらぬ方向にすっとばし過ぎて、彼女の逆鱗に触れ怒りを本気で買ったらしい。
場の空気が一気に氷点下まで下がった瞬間だった。
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