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豹頭王異伝
波瀾
交渉の基本
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ふん、返答するまでもあるまい。
 人類最強の黒魔道師、グラチウス様が退く訳には行かんよ。
 やりすぎではあるが、予防措置は有効じゃ。
 キタイの竜も、中原全域を破滅させる度胸は有るまい。
 口車の天才と精神生命体の決闘、心理戦《サイコ・バトル》は見逃せん」
 水晶の様に見える銀色の壁が滑らかに開き、リンダに退室を促す。
 ヴァレリウスの思念波、心話を受け魔道師達が陣形を整える。
 古代機械の外壁が音も無く開き、再び閉じた。

 光の船が煌き、微かな震動と共に姿を消す。
 聖王宮一帯を覆う闇の領域、結界が震えた。
「古代機械の転移、帰還に貴様が気付かぬ筈は無いだろう。
 アモン、姿を現せ!」
 グインの挑発に続き、古代機械の《声》が響く。
( 以前レムス・アルドロス1世に憑依、接近を試みた精神波を探知。
 質量の計測は不能ですが、サイコ・パターンが一致しています )
 ナリスと目配せを交わし、悠然と微笑む長身の偉丈夫。
 ヴァレリウス、ヨナも頷く。
 興味津々の態で周囲を見廻し、何も気付いておらぬ風を装う闇の司祭。
 爛々と輝く瞳は如実に擬態を裏切り、内心を暴露している。

「シルヴィア奪還の後、俺は蜃気楼の娘と遭った。
 《種子》を孵化させる為、怨霊を贄とした情報が真実であれば。
 お前の裡にも帝都カナン破滅の模様、情景が宿っているのではないか?」
 古代機械の壁が煌き青い光、赤い光の複雑精緻な模様を映す。
 ヤヌスの塔に匿された地下通路、空気が虹色に染まる。
 頭上に異様な物体、巨大な円盤状の星船が現れた。
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