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豹頭王異伝
波瀾
交渉の基本
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を切る。

「グラチウス、出て来い!
 どうせ結界に姿を隠し、聞き耳を立てているのだろう?
 姑息な真似はやめ、姿を現せ!!」

 痛烈な面罵にも等しい宣告に驚き、紫色の瞳を瞠る聖王妃。
 対照的に顔色を変えず、暗躍者の登場を待つ解放軍の指導者達。
 白魔道師の結界は無力、との指摘にも等しいが。
 ヴァレリウスも実力の差は弁えており、仏頂面の儘で無言を貫く。
 グインの獅子吼に応え闇の司祭、暗黒魔道師連合の総帥が登場。
 悠然と一同を見回し、豹頭の追放者を睨み付ける。

「失礼な豹めが、己には学習能力が無いのか!?
 何度も言わせるな、老人には敬意を払わんかい!
 わしは世界三大魔道師の一角、現世に留まる最強の人間じゃぞ!
 己は先刻承知かも知れんが、少し位は楽しませてくれたって良いじゃないか!!」
 八百と十四歳の若者は憤然と喚くが、年齢不詳の戦士は歯牙にも掛けぬ。
 尚も言い募ろうとする闇の司祭を遮り、一瞬で沈黙させた。

「ナリス殿と俺は魔王子アモン打倒の為、古代機械を使って聖王宮に転移する。
 お前が希望していた通り、彼奴を退治する絶好の機会《チャンス》だぞ。
 精神生命体が真に消滅したかどうか、貴様自身で確かめてはどうだ?」
 グラチウスは珍しくも咄嗟に言葉が出ず、眼を白黒させて黙り込む。
「そりゃあ願ってもない、喜んで同行するさ!
 アモンの畜生め、には煮え湯を飲まされたからな!!
 何も無い世界に放り込まれ、ユリウスの様に干乾びる所だった!
 奴が真に消え失せたか、見極めてやろうじゃないか!!」
 飄々と嘯き、気紛れな猫の様に豹変する闇の司祭。
 鉄面皮を崩さず、冷ややかに眺める豹頭の戦士グイン。
 悪戯っ子の様に微笑み、他人事の様に両者を見比べる第2王位継承権者アルド・ナリス。
 ヨナ・ハンゼは瞳を伏せ、懸命に無表情を保つ。
 ヴァレリウスは散々、煮え湯を飲まされた先達の醜態に溜飲を下げた。


「透視透聴の術を自在に操る老師なれば、既に御存知であろう。
 俺は現在只今の情勢に鑑み、古代機械の自爆命令を設定した。
 作動条件は第二管理者《セカンド・マスター》に対する精神干渉、思考操縦、意識誘導だ。
 推定影響範囲は謎の古代王国ハイナム、草原地方、ミロク教の聖地ヤガ、沿海州も含む。
 死の砂漠ノスフェラス誕生、三千年前の星船墜落と帝都カナン潰滅に匹敵する。
 古代帝国ハイナム全域も含め、キレノア大陸の西半分は死の砂漠と化すだろうな。
 キタイの竜王は道連れに出来ぬが、中原の全住民が精神寄生体の奴隷になるよりは良い。
 パロ聖王国を代表してナリス殿が提案され、新生ゴーラ王国の宰相カメロン殿にも同意を得た。
 アキレウス大帝には申し訳も無いが、ケイロニア王国に関し
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