暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
もう一つの決着
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
シノンは眼を張り裂けんばかりに見開き、遥か彼方の、点のような二つの人影を凝視していた。

片方は、不思議な縁で共同戦線を張ることとなった黒尽くめの少女――――に見える少年、キリト。さすがにこの距離が距離のため、遠視エフェクトがかかってその表情までは見えない。

だがその背はありありと、自らが立つ戦場の過酷さを叫んでいる。複雑な軌道と峻烈な速度で振るわれる光剣の光芒が宙を美しく流れている。

そして、その対戦相手。

幽鬼のごときボロボロのギリーマントで身体を覆うプレイヤー。

そいつこそがかのデスゲーム、《ソードアート・オンライン》から舞い戻った、いや蘇った殺人鬼。

《死銃》

シノンの狙撃によって主武器(メインウェポン)の《沈黙の暗殺者(サイレント・アサシン)》を修復不可能なレベルで破壊されたヤツは、なんと金属製の《剣》を持ち出してきたのだ。

迫りくるキリトを迎え撃つために。

普通なら、それは何の抵抗にも障害にもならなかったはずだ。キリトの主武器である光剣(フォトンソード)の刀身を形作っているのは、光学銃やプラズマグレネードと同じ超高温のエネルギーである。

対光学銃用の防護フィールドは距離が近ければ近いほど効力が薄れるため、光剣の射程内であればないも同然。掠っただけで大ダメージのその刀身は、音もなく死銃のHPを刈り取れる。その間に金属製の剣など差し込んでも、溶断されるのがオチのはずだった。

だが、なんということか。死銃が持ち出した長さ八十センチほどの金属棒は、光剣のエネルギーブレードを耐え、逆にキリトの左肩を貫いたのだ。

現実的に考えると、ありえないことである。あの光剣は何せ、予選決勝にてヘカートの致死の五十口径弾を両断してのけたのだ。ただの金属が、あのブレードに耐えられるわけがない。

だが。

そこで、シノンの脳裏によぎるものがあった。

あの剣の材料が、ただの金属ではなかったらどうだろう。

裏路地のジャンクショップなんかで、猛烈に高い値段で取引される最高クラスの地金(インゴット)アイテムがあったはずだ。

本当に付加価値の高い銃火器が全部ドロップ品でしか入手できないGGOの性質上、正直プレイヤーメイドの銃の価値は低めに見なされることがある。その手の鉱物系アイテムの世情には疎いが、それでもトリビア的な情報として記憶の隅っこにあったそれをシノンは慎重に手繰る。

そう、確か宇宙船の外装、とかだっただろうか。奇特で、しかもSTRにかなりの余力があるプレイヤーはそれらを組み合わせた盾を作ったと小耳に挟んだが、まさかそれを剣にするとは思いもしなかった。

だが、もしこの推論が正しければ、彼方で戦うキリトの勝算はかなり低くなると言っていいだろう。

何せ宇宙船の装甲板
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ