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ソードアート・オンライン -旋律の奏者-
アインクラッド編
74層攻略戦
久方振りの共闘を 03
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、さすがにここは人が多いし、移動しながらでもいいよね?」
 「ああ、俺はいいぜ。 アスナもそれでいいか?」
 「うん、私もそれでいいけど、アマリはどう?」
 「もちろんオッケーですよー」

 きっちりと全員の同意が得られたところで、僕たちは転移門に歩み寄った。
 今日の目的地である迷宮区へは直接転移ができないので、まずは迷宮区の最寄りの町を転移先に指定する。 そこからは徒歩で迷宮区を目指すことになるわけだけど、この4人であれば問題はないだろう。 フィールドよりも高レベルのモンスターが出る迷宮区でだって、アラームトラップにかからない限りは余裕で進めるはずだ。
 いくつかの懸念材料はあることにはあるので、それを解消するために思考を重ねながら、僕は目的の町の名前を口にした。









 「『心渡り』?」
 「そう。 心を渡るって書いて『心渡り』」

 キリトが発動してくれている索敵スキルの恩恵で周囲にモンスターもプレイヤーもいないことを確認してから、僕はクラディールを破ったシステム外スキルの説明を始めた。
 僕を嫌っているアスナさんは合の手なんて入れてくれないし、アマリはアマリであれの詳細を知っているから口を挟まない。 だから、僕とキリトの2人での会話になってしまうのは無理もないだろう。

 「意識の空白って僕は呼んでるけど、そう言うデッドスペースに身体を捻じ込んで視界から……正確には意識から消える技術だよ。 要するに不意打ちだね」
 「意識の空白?」
 「んー、ミスディレクションって言えばいいのかな? 手品とかで右手を振り上げた瞬間に左手で何かしらをすると、大体の観客はそれに気付かないでしょ? 原理はそれと同じ。 他のことに意識を向けた一瞬を利用するんだよ」
 「いやでも、デュエル中に他のことに気を取られるなんてあるのか? お前はゆらゆらしてただけでで何もしてなかっただろ?」
 「珍しく勘が鈍いね、キリト。 まあ、僕が何もしなかったって言うのは正解だけど、あの場にいたプレイヤーは全員、僕とクラディール以外の何かに一瞬だけ気を取られたはずだよ」

 クスクスと笑いながら言うと、意外な人物からの返答があった。

 「デュエル開始の表示、ですか?」
 「ん……うん、そう。 その通りだよ。 デュエル開始を知らせる表示が宙空に瞬いたあの一瞬だけは、絶対にそっちを見る。 人は動くものを目で追う習性がある、なんて言うのは説明するまでもないよね? 程度の差こそあれ、反射的に起こる現象は止められない。 そして、僕にはその一瞬で充分なんだよ」

 アスナさんから相槌があるとは思っていなかったので、説明を繋げるまでに一瞬の間が空いたけど、よくよく考えてみればアスナさんは心渡りを体験していて、しかもその時に負け
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