暁 〜小説投稿サイト〜
ラブライブ Novels of every season
触れ合うほどの距離で
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[9] 最初


「ぐすっ……うん」

「ふふ、それじゃあ中に入れてもらっていいかしら?このままでも十分温かいんだけど、ここじゃあ……ね?」

「ふわぁ!ご、ごめんね。ど、どうぞ……」

「うふ、お邪魔します」
















 カチッコチッと、時計の針の音が聞こえる。
 さっきまでの事を思い出してしまい、希は顔を真っ赤にしてベッドへ潜った。
 ちょこんと布団から顔をだし、隣を見る。
 規則正しい寝息が、耳に心地いい。

「ん、んん……」

「あ、ゴメンな……起こしてしもたな」

 綺麗な青い瞳が、虚ろながらにもこちらを見ている。
 にっこり笑顔を向けると、まるで花が咲いたようにそれに応えてくれた。

「……ううん、いいのよ」

「ふふ」

「どうしたの?」

「ううん。ウチ、今すっごい幸せやなぁと思って」

「あら、奇遇ね。私もよ」

「ふふ、お揃いやね」

 少し冷えてしまったお互いの指が重なり合う。
 それだけで熱を戻すのだから、人の身体というものは不思議なものだなと実感する。

「ねぇ、希」

「なぁに、えりち?」

「さっきの言葉、もう一回聞かせて?」

「さっきのって?」

「さっき部屋に入る前に私に言ってくれた言葉よ」

「うぅ、恥ずかしいぃよぉ」

「あら、私ばっかりじゃ不公平じゃない。認められないわぁ」

「もぅ、えりちの意地悪ぅ」

「ねぇ……お願い」

「わ、わかったよぉ」

 恥ずかしそうにしながらも、希は絵里の方へ身体を寄せる。
 お互いの唇が触れ合うほどの距離で、そっと耳元へと近づく。

 不思議な気持ちだと思った。
 まるで、空から降ってきた粉雪のように、優しく、柔らかく、ゆっくりと積もっていく。
 多分、初めて出会った時から、こういう予感があったのかも知れない。

 ねぇ、えりち。もしも貴女が困った時があったら、ウチに教えてほしいな?
 すぐに会いに行くから、ぎゅって抱きしめてあげるよ。
 どこにいても、どこでも。




 あんな、えりち……ウチえりちの事が……
[9] 最初


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