暁 〜小説投稿サイト〜
ラブライブ Novels of every season
触れ合うほどの距離で
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してまだ数か月しか経っていないのに、希の目に彼女らは随分と変わって見えた。
 自分はどうなのだろう?
 ふと、あの子と目が合う。

「どうしたの、希?」

 昔はポニーテールだった金髪は、今は下ろしている。
 青く綺麗な瞳、透き通るような白い肌、どこか落ち着く声。
 女性の目から見ても、息を飲むようなプロポーション。
 元生徒会長の絢瀬絵里。賢い、可愛い、エリーチカ。略して「KEE」
 久しぶりに会った彼女は、以前よりも綺麗になっていた。色っぽいというか、女らしくなったというか、そんな印象を受ける。

「ううん、何でもあらへんよ。皆相変わらずやなぁと思ってね」

「ふふ、そうね。どう最近は?」

「ん?大学の方?覚える事が多いけど、まぁ楽しいかな。えりちは?」

「私も似たようなものね」

「えりちの事やから、また学校で一人ぼっちになっとるんちゃうかなと思って心配やったんよ」

「なによそれ。ちゃんと友達も出来たわよ」

 絵里の話を、希は笑顔で聞いていた。
 いや、それは正しくない表現だろう。
 正しくは聞き流していた、というべきなのかもしれない。
 別に彼女の生活が羨ましいとか、そういう事ではない。事実彼女が順調な大学生活を送れているのは、希にとって喜ばしい事だった。
 その気持ちに偽りはない。
 嘘があるのだとすれば、それは……


 季節は移り、街はすっかりクリスマスムードに包まれていた。
 コンビニでショートケーキとチキンを買って、自宅へと戻った希は携帯の画面を見つめる。
 元μ´Sのメンバーからのメッセージ、一人一人に返していく。

「えりち、何しとるんかな……」

 ふと、視界が歪む。希は慌てて目を擦った。
 あの夏の日以降も、希と絵里は会ってはいない。連絡のやり取りはしているものの、会う事はしなかった。
 希自身が、会う事をどこかで拒んでいたのかもしれない。
 彼女からしてみれば、大学の勉強も忙しいし、親友の邪魔もしたくない。
 お互いの将来に向けて大事な時期だし、新しい生活もあるのだから昔のようにはいかない。
 頭ではわかっているつもりでも、どうにも引っかかる感情が一つ。
 希がその気持ちに気付いたのは、丁度一年前のあの時。ラブライブ出場を賭けて、A-RISEと勝負した時に作った曲。

 あの曲は、誰に対して歌ったものなのだろう。
 どうして、自分はあんな事を言い出したんだろう。
 なんであの子は、私の背中を押してくれたんだろう。

 大学へ進み、教師になると教えてくれたあの日。自分の夢を打ち明けてくれた彼女。
 憧れを語るその瞳は、遠くを見つめていた。その隣には自分はいないのだなと、寂しさを感じたのを覚えている。
 打ち明けられないまま
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